芭蕉関連俳書
『雪満呂気』(曽良遺稿)
元文2年(1737年)10月、周徳編。周徳は曽良の甥。
安永4年(1775年)、半化居士序。天明3年(1783年)正月、刊。
俳諧雪麻呂気上
曽良何某、此あたりちかくかりに居をしめして、朝な夕なにとひつとはる。我くひ物いとなむ時は柴をくぶるたすけとなり、茶を煮夜は来たりて軒をたゝく。性隠閑を好む人にて、交(まじはり)金(こがね)をたつ。ある夜雪にとはれて
きみ火をたけよき物見せん雪まろげ
| ばせを
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さしこもる葎の友かふゆなうり
| ばせを
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元禄二仲春、とう山旅店にて
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(※「とう」=「口」+「荅」)
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かげろふの我肩にたつ帋子哉
| ばせを
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水やはらかにはしり行音
| 曽良
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杣の家に独活のあへものあつらへて
| とう山
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身はかりそめに猿のこしかけ
| 此筋
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室の八嶋
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糸遊に結つきたるけぶりかな
| ばせを
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入かゝる日も糸ゆふの名残かな
| 仝
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鐘つかぬ里は何をか春のくれ
| 仝
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入逢の鐘もきこへ(え)ず春の暮
| 仝
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廿余町山を登りて滝有。岩洞の頂より飛流して百尺千岩の碧潭に落たり。名を恨の滝とかや申伝へ侍るよし。
時鳥うらみの滝のうら表
| ばせを
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奈須余瀬、翠桃亭を尋て
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秣おふ人を枝折の夏野かな
| ばせを
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青き覆盆子(いちご)をこぼす椎の葉
| 翠桃
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奥州岩瀬郡、相楽伊左衛門亭にて
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風流のはじめやおくの田植歌
| ばせを
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いちごを折て我まうけ草
| 等躬
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大石田、高野平右衛門亭にて
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五月雨を集て涼し最上川
| 芭蕉
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岸にほたるをつなぐ舟杭
| 一栄
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俳諧雪麻呂気下
盛信亭にて
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風の香も南に近し最上川
| ばせを
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小家の軒を洗ふ白雨(ゆふだち)
| 柳風
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物もなく麓は霧に埋れて
| 木端
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元禄二、六月四日、羽黒山本坊におゐ(い)て興行
有がたや雪を薫らす風の音
| ばせを
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すみけん人のむすぶ夏艸
| 露丸
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川舟のつなに螢を引立て
| 曽良
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鵜の飛跡に見ゆる三日月
| 釣雪
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六月十五日、寺島彦介亭にて
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涼しさや海に入(いれ)たる最上川
| ばせを
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月をゆりなす浪のうき海松(みる)
| 令道
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黒鴨の飛行庵の窓明て
| 不玉
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梺は雨にならん雲ぎれ
| 定連
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椛とぢの折敷作りて市を待
| 曽良
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影にまかする霄の油火
| 任暁
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不機嫌のこゝろに重き恋衣
| 扇風
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末略と有
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出羽酒田の湊、伊東不玉亭にて
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あつみ山や吹浦かけて夕すゞみ
| ばせを
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海松(みる)かる礒に畳む帆莚
| 不玉
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月出ば関屋をからん酒持て
| 曽良
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土もの竈のけぶる秋風
| 翁
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温泉(ゆぜん)大明神の拝殿に八幡宮を移し奉りて、両神一方に拝れ給ふ。
高久覚左衛門に宿る。みちのく一見の桑門同行二人、那須の篠原を尋ねて、猶殺生石見んとこへ(え)ける程に、雨降ければ、先このところに留て
落くるやたかくの宿のほとゝぎす
| ばせを
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木の間を覗くみじか夜の雨
| 曽良
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白川関
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西かひがしか先早苗にも風の音
| ばせを
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関守の宿をくゐ(ひ)なに問ふものを
| ゝ
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さみだれは滝降りうづむみかさ哉
| ゝ
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桑門可伸の主は栗木の下に庵をむすべり
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隠家や目にたゝぬ花を軒の栗
| ばせを
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稀にほたるのとまる露艸
| 栗梁
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芭蕉翁みちのくに下らんとして我茅屋をおと
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づれて、猶白川のあなた、すか川といふ所に
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とゞまり侍と聞て、申つかはしける
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雨晴て栗の花咲く跡見かな
| 桃雪
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いづれの草に啼おつる蝉
| 等躬
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夕食喰賤が外面に月出て
| ばせを
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秋来にけりて布たぐる也
| 曽良
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別会
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旅衣早苗に包む食乞人
| おなじく
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浅香のつゝみあやめ折すな
| 芭蕉
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夏引の手引の青苧くりかけて
| 等躬
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別会
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苅やうを又習ひけりかつみ艸
| 等躬
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市の子供の着たる細布
| 曽良
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日面に笠をならぶる涼みして
| ばせを
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五月乙女にしかた望まんしのぶ摺
| 芭蕉
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羽黒に参籠して後、鶴岡にいたり、重行亭に
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て興行
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めづらしや山を出羽の初茄子
| ばせを
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蝉に車の音添ふる井戸
| 重行
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絹機の暮いそがしき梭(をさ)打て
| 曽良
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閏弥生もすゑの三日月
| 露丸
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六月十七日、朝、象潟雨降ル。夕止、舟にて潟を廻る。
越後の国出雲崎といふ所より佐渡か嶋へは海上十八里となり。初秋の薄霧立もあへず、流石に波も高からざれば、たゞ手の上の如くに見渡さるゝ。
荒海や佐渡に横たふ天の川
| 芭蕉
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直江津にて
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文月や六日も常の夜には似ず
| ばせを
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露をのせたる桐の一葉
| 左栗
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朝霧に食(めし)たく烟立分て
| 曽良
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蜑の小舟のはせ上る磯
| 眠鴎
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烏啼むかふに山を見せりけり
| 此竹
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松の木間より続く供鑓
| 布嚢
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細川青(春)庵亭にて
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薬園にいづれの花を草枕
| ばせを
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萩のすだれをあげかける月
| 棟芝
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炉煙の夕を秋のいぶせくて
| 更也
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馬のりぬけし高藪の下
| 曽良
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枕引よせて寐たるに、一間隔て若き女の二人ばかりときこゆ。又年老たる男の声も交て物語するを聞ば、越後の新潟といふ所の遊女成し。伊勢参宮するとて此関までお(を)のこの送りて、翌は古郷にかへす文などしたゝめて、はかなき言伝などしやるなり。
一家に遊女も寐たり萩と月
| 芭蕉
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西 浜
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小鯛さす柳涼しや海士が家
| ばせを
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一笑追善
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玉よばふ墓のかざしや竹の露
| 曽良
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鶴の賛
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鶴啼や其声芭蕉やれぬべし
| 仝
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少幼(幻)庵にいざなはれて
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秋すゞし手毎にむけや瓜茄子
| ばせを
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旅愁なぐさめかねて、ものうき秋もやゝいたり
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ぬれば、流石目に見えぬ風の音づれもいとゞ
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しくなるに、残暑猶やまざりければ
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あかあかと日は難面も秋の風
| 仝
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観(ママ)水亭雨中会
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ぬれて行や人もお(を)かしき雨の萩
| 仝
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心せよ下駄のひゞきも萩の露
| 曽良
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かまきりや引こぼしたる萩の露
| 北枝
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北国行脚の時、いづれの野にや侍りけん、「あつさぞまさる」とよみ侍りしなでしこの花さへ盛過行頃、萩薄に風のわたりしを力に、旅愁をなぐさめ侍りて
しほ(を)らしき名や小松吹萩薄
| ばせを
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草の扉(とぼそ)に待ちわびて、秋風のさびしき折々、妙観が刀を借、竹取の巧ミを得て、竹をさき、竹を枉(まげ)て、自笠作の翁と名乗る。巧拙ければ、日を尽して不レ成。
こゝろ安からざれば、日をふるに懶(ものう)し。
朝に帋をもて張、夕部にほして又張る。渋と云物にて色を染、いさゝかうるしをほどこして堅からん事を要す。廿日過るほどにこそやゝいできにけれ。
笠の端(は)の斜に裏に巻入、外に吹返して、ひとへに荷葉の半ば開るに似たり。規矩の正しきより、中々お(を)かしき姿也。彼西行の侘笠か。坡翁雲(雪)天の笠か。いでや宮城野ゝ露見にゆかん、呉天の雪に杖を曳かん。霰にいそぎ時雨を待て、そゞろにめでし(ゝ)殊に興ず。興中俄に盛(感)る事あり。ふたゝび宋祇の時雨にぬれて、自から筆をとりて笠のうちに書付侍りけらし。
世にふるも更に宋祇のやどり哉
| 桃青書
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叔父曽良の反故の中より一とつの雪丸げを得て、これにまるろ附て見れば一冊となれり。叔父みまかりしよりこのかた、二十八年の春秋をふれども、この雪の消ざる金玉にして、誠に貴くこそ覚ゆ。
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