
| 盛信亭 |
||||||||||||||||||||||||||
| 風の香も南に近し最上川 | 翁 |
|||||||||||||||||||||||||
| 息 |
||||||||||||||||||||||||||
| 小家の軒を洗ふ夕立 | 柳風 |
|||||||||||||||||||||||||
| 物もなく麓は霧に埋て | 木端 |
|||||||||||||||||||||||||
|
元禄2年(1689年)6月1日(陽暦7月17日)、芭蕉は大石田から新庄の澁谷甚兵衛風流亭を訪ねた。翌2日、甚兵衛の兄澁谷九郎兵衛盛信の家に招かれて句会を催した。 |
|
二日 昼過より九郎兵衛へ被レ招。彼是、歌仙一巻有。盛信。息、塘夕、渋谷仁兵衛、柳風共。孤松、加藤四良兵衛。如流、今藤彦兵衛。木端、小村善衛門。風流、渋谷甚兵へ。
『曽良随行日記』 |
| 新 庄 |
||
| 御尋に我宿せばし破れ蚊や | 風流 |
|
| はじめてかほる風の桾ィ | 芭蕉 |
|
| 菊作り鍬に薄を折添て | 孤松 |
|
| 霧立かくす虹のもとすゑ | ソラ |
|
| そゞろ成月に二里隔けり | 柳風 |
|
| 馬市くれて駒むかへせん | 筆 |
|
|
「ここにいると、いかにも初夏の南風らしく、かぐわしくさわやかに風が吹きわたってくるが、これは南に近く雄大な最上川が流れていて、その流れを越えてきた南風であるからであろう」との意。> 盛信の家居の涼しげな風情を褒めたたえる挨拶の心をふくめている。> 「風の香も南に近し」は、後掲の『増山井』などにも引く『古文真宝』前集の「薫風自南至」あたりを念頭において「風の香も」と発想したものであろう。「南に近し」は、「風の香も」をうけ、また「最上川」にかかり、上下に働いた据え方である。> 『曾良書留』・『雪丸げ』(「盛信亭」と前書)・『奥細道菅菰集』付録(「新庄盛信亭にて」)と前書)・『奥の枝折』にこの句を発句とする三つ物を掲出、脇は「小家の軒を洗ふ夕立―息柳風」。『随行日記』によれば、元禄二年六月二日の作。 |
