歌 碑


晶子歌碑  ・ 牧水歌碑  ・ 茂吉歌碑  ・ 御 製

『小倉百人一首』の歌碑  ・ 『万葉集』  ・ 古歌碑

岩村通俊



世の中に涼しきものは上川の雪の上に照る夏の世の月

常磐公園(北海道旭川市)

尾上柴舟



つけすてし野火のけむりのあかあかとみえゆくころぞ山はかなしき

物見塚公園(静岡県伊東市)



生ぬくきにほひみたせて山さくら咲ききはめれは雨よふらしも

鶴山公園(岡山県津山市)



わかことくこえなつみつゝ人やありしふみすへしたり山かけのくさ

三滝寺(広島県広島市)

中島歌子



ゆきのうちに根ざしかためて若竹の生ひ出むとしの光をぞ思ふ

北野神社(東京都文京区)

山川登美子



髪なかき少女とうまれしろ百合に額は伏せつゝ君をこそ思へ



いく尋のなみはほをこすくもにゑみ北國人とうたはれにけり

小浜公園(福井県小浜市)

土井晩翠



おほ空に雲一ひらもたゞよはず千世をことほぐ九重の庭

観音寺(宮城県気仙沼市)



花ふぶき霞が城のしろあとに仰ぐあたたら峯のしら雪

霞ヶ城(福島県二本松市)

土屋文明



青き上に榛名を永久の幻に出でて歸らぬ我のみにあらじ

土屋文明記念文学館(群馬県高崎市)

古泉千樫



雑然と鷺はむれつゝおのがじしあなやるせなき姿なりけり

伝通院(東京都文京区)



この庭の槐(えんじゅ)わか葉のにひみどりにほへる蔭にわれ立ちにけり

伊藤左千夫記念公園(千葉県山武市)

高村光太郎



黒潮は親潮をうつ親潮はさ霧をたてゝ船にせまれり

御崎園地(宮城県気仙沼市)

室生犀星



眼の見えぬ酒の遠くにうき友のまなこはかつと見ひらきにつつ。

磯部公園(群馬県安中市)

太田水穂・五郎・青丘の歌碑


たゝかひは何處にありし山川やかく静けくて雲を遊はす
   水穂

乗鞍の雪を染めゐし朝茜まぶしき光今も身に添う
   五郎

ふもとに村家々にわらへのあることを夕日の丘に佇ちておもへり
   青丘

太田水穂生家跡(長野県塩尻市)

女流三歌人の歌碑


鉢伏の山を大きく野にすゑて秋年々のつゆくさの花
   四賀光子

春鳥のいかるかの声うらかなし芽ふきけふらふ木立の中に
   若山喜志子

いく重やまみやまの奥の山ざくら松にまじりて咲きいでにけり
   潮みどり

塩尻歌碑公園(長野県塩尻市)

釈超空



海のおもいよいよ青しこのゆふべ田しろあぢしまかさなりて見ゆ

新田次郎



北上川の盡きるところのかすみにはなおとまどいの青き波かな

日和山公園(宮城県石巻市)

井伊文子



一身に責負ひまして立ちましし大老ありてこそ開港はなりぬ

彦根城(滋賀県彦根市)

前田夕暮



わが愛するものに語らん樫の木に日があたり視よ冬すでに過ぐ

多磨霊園(東京都府中市)

山村暮鳥



おう土よ生けるものよその黒さに太古のかほりがただよってゐる

佐藤佐太郎



晴れし日の砂山のうへ濡石はみづから濡れて脂の如し

虚空蔵堂(茨城県那珂郡東海村)



夜もすがら口中に異物無く眠るわが境涯の安けさあはれ

笛吹川歌碑公園(岡山県久米郡久米南町)

前川佐美雄



あかあかとたたあかあかと照りゐれは伏見稲荷の神と思ひぬ

伏見稲荷(京都府京都市)

金田一京助の歌碑



かげとものをのみちのやどのこよなきにたびのつかれをわすれていこへり

千光寺公園(広島県尾道市)

有島武郎



浜坂の遠き砂丘のなかにしてさびしき我を見出でつるかも

鳥取砂丘(鳥取県鳥取市)

木俣修



蔦かつらあかくもみつるしろあとに百舌は高なくゆふさりくれは

「三太郎の小径」(宮城県仙台市)



城の町かすかに鳰のこゑはしてゆきのひと夜の朝明けんとす

彦根市立図書館(滋賀県彦根市)

柳原白蓮



和田津海の沖に火もゆる火の国にわれあり誰ぞやおもわれ人は

千里南公園(大阪府吹田市)



おもひきや月も流転のかけそかしわかこしかたに何をなけかむ

遠賀川沿い(福岡県飯塚市)

結城哀草果



日本海に帯なす雲の棚引きて朱き夕日を抱きたるかなや

日和山公園(山形県酒田市)



山行くはたのしからずや高山の青雲恋ひて今日も山ゆく

笛吹川歌碑公園(岡山県久米郡久米南町)

田口白汀の歌碑



ひと時の茜といえと雲を焼く大きな自然や限りなき空や

太宰府天満宮(福岡県太宰府市)



千年の樹齢を保ちいや増しに秀出る是れの椿を仰ぐ

武蔵寺(福岡県筑紫野市)

中村憲吉の歌碑



春さむき梅の疎林をゆく鶴の高く歩みて枝をくぐらず

岡山後楽園(岡山県岡山市)

山崎斌の歌碑



筑紫なる遠の御門の趾どころかんぜおん寺の鐘けさも鳴る

観世音寺(福岡県太宰府市)

大悟法利雄の歌碑



み社を箭山をうつすこの池にめばえたるわが歌ごころとも

薦神社(大分県中津市)

川田順の歌碑

一遍上人を讃える長唄


遊行寺(神奈川県藤沢市)



地中にてはたらくことは慣れながら皆大山祇に礼して這入る

大山祇神社(愛媛県新居浜市)



石鎚も赤石も皆雪しろしめす雪八雲の神の宮つかさにて

宗像神社(愛媛県新居浜市)



宝厳寺(愛媛県松山市)

中村雨紅の歌碑



ふるさとはみな懐かしく温かし今宵も聞かむ夕焼の鐘

観栖寺(東京都八王子市)

野田宇太郎の歌碑



信玄は兜のきんの前飾り一つのこしてあとかたなし

長岳寺(長野県下伊那郡阿智村)



ドン・マンショ行方も知れぬ淋しさの漂ふ飯肥をわれは尋(と)めゆく

飫肥城下町(宮崎県日南市)

近藤芳美の歌碑



「日本中央」とてみちのくに碑を残す壺の石ぶみ何かを知らず

日本中央の碑歴史公園(青森県上北郡東北町)



陸軍桟橋とここを呼ばれて還らぬ死に兵ら発ちにき記憶をば継げ

宇品港(広島県広島市)

宮柊二の歌碑



往還に白き埃の立ちながれあな恋ほしかも

(福岡県柳川市)

新村出の歌碑



   上御霊のみやしろに詣でてよめる

千早振る神のみめぐみふかくして八十ぢに満つる幸を得にけり

御霊神社(京都府京都市)

金田一京助の歌碑



かげとものをのみちのやどのこよなきにたびのつかれをわすれていこへり

千光寺公園(広島県尾道市)

松本清張歌碑



雲たれてひとりたけれる荒波を恋しと思えり能登の初旅

巌門(石川県羽咋郡志賀町)

海音寺潮五郎の歌碑



霧島は神山なれば谷々に湧く雲さへも尊とかりけり

(鹿児島県霧島市)



わが国に桜島あり西郷も大久保も見し火を噴く山ぞ

(鹿児島県鹿児島市)

淡島千景の歌碑



さくら陰遠く絵島忍ぶれば散りゆく花もいとも悲しき

高遠温泉(長野県伊那市)

寺山修司の歌碑



大工町寺町米町仏町老母買ふ町あらずやつばめよ

文芸のこみち(青森県青森市)

俵万智の歌碑



さくら さくら
   さくら咲き初め 咲き終わり
      なにもなかった ような公園

足羽川沿い(福井県福井市)