牧水歌碑

喜志子歌碑 ・ 旅人歌碑

牧水ゆかりの地 ・ 牧水の歌 ・ 『みなかみ紀行』その後



群 馬  ・ 長 野  ・ 静 岡  ・ 宮 崎



野ぶどうのもみぢの色の深けれやから松はまだ染むとせなくに

春光台公園(北海道旭川市)



秋すでに蕾をもてる辛夷の木雪とくるころ咲くさまはいかに

霜はいま雫となりてしたたりつ朝日さす紅葉うつくしきかな

かみすながわ炭鉱館(北海道空知郡上砂川町)



橇の鈴戸の面にきこゆ旅なれや津軽のくにの春のあけほの

ひつそりと馬のり入るる津かる野の五所川原まちはゆきをやみせり

八幡宮(青森県五所川原市)



城あとの古石垣にゐもたれて聞くともなき波の遠音かな

下橋中学校(岩手県盛岡市)



幾山川こえさり行かば寂しさのはてなむ國ぞけふも旅ゆく

北上駅西口広場(岩手県北上市)



鶸めじろ山雀つばめなきしきりさくらはいまだひらかざるなり

千秋公園(秋田県秋田市)



最上川岸の山群むきむきに雲籠るなかを濁り流るゝ

中高にうねり流るゝ出水河最上の空は秋くもりせり

草薙温泉(山形県最上郡戸沢村)



砂山の蔭に早やなりぬ何やらむ別れの惜しき酒田の港

日和山公園(山形県酒田市)



つばくらめちゝと飛びかひ阿武隈の岸の桃のはな今さかりなり



つばくらめちちと飛びかひ阿武隈の岸の桃の花いまさかりなり

夕日さし阿武隈川のかはなみのさやかに立ちて花ちり流る

紅葉山公園(福島県福島市)



時をおき老樹の雫おつるごとしづけき酒は朝にこそあれ

喜連川神社(栃木県さくら市)



かんがへてのみはじめたる一合の二合のさけの夏のゆふぐれ

興禅寺(栃木県宇都宮市)



まちなかの小橋のほとりひややけき風ながれゐてさくら散るなり

釜川(栃木県宇都宮市)



鹿のゐていまもなくてふ下野のなきむし山の峰のまどかさ

花石神社(栃木県日光市)



のむ湯にも焚火の煙匂ひたる山家の冬のゆふげなりけり

祖父健海の生家(埼玉県所沢市)



ちろちろと岩つたふ水に這ひあそぶ赤き蟹ゐて杉の山静か

名栗温泉(埼玉県飯能市)



しらしらと流れて遠き杉山の峡のあさ瀬に河鹿鳴くなり

市民会館(埼玉県飯能市)



溪の音遠くすみゐて春の夜のあけやらぬ庭にうくひすのなく

長生館(埼玉県秩父郡長瀞町)



秩父町出はづれ来れば機をりのうた声つゞく古りし家並に

羊山公園(埼玉県秩父市)



多摩川の砂にたんぽぽ咲くころはわれにもおもふ人のあれかし

兵庫島公園(東京都世田谷区)



多摩川の浅き流れに石なげてあそべば濡るるわがたもとかな

根川緑道(東京都立川市)



立川の驛の古茶屋さくら樹のもみぢのかげに見送りし子よ

立川駅北口(東京都立川市)



山の雨しばしば軒の椎の樹にふり来てながき夜の灯かな
摘みてはすて摘みてはすて野のはなの我等があとにとほく続きぬ
拾ひつるうす赤らみし梅の実に木の間ゆきつつ歯をあてにけり



小鳥よりさらに身かろくうつくしくかなしく春の木の間ゆく君

百草園(東京都日野市)



ひさしくも見ざりしかもと遠く来てけふ見る海は荒れすさびたり
遠く来てこよい宿れる海岸のぬくとき夜半を雨降りそそぐ
まともなる海より昇る朝の日に机のちりのあらわなるかな

犬吠埼(千葉県銚子市)



おのづからよろづの味のもとゝなる亀甲萬のむらさきぞ濃き

キッコーマン研究開発本部(千葉県野田市)



はるけくてえわかざりけり沼の上や近づき来る鷺にしありけり

手賀川(千葉県印西市)



はるけく日はさし昇り千町田のたり穂の露はかゞやけるかも

多古町蔦屋(千葉県香取郡多古町)



   八幡岬にありて図らず満月を見る

ありがたや今日満つる月と知らざりしこの大き月海にのぼれり

八幡岬(千葉県いすみ市)



しら鳥はかなしからずやそらの青海のあをにもそまずたゞよふ
山を見よ山に日は照る海を見よ海に日は照るいざ唇を君
大島の山のけむりのいつもいつもたえずさびしきわが心かな

根本海岸(千葉県安房郡白浜町)



わが庭の竹の林の淺けれどふる雨みれば春は來にけり

草木工房(神奈川県川崎市)

「夫婦歌碑」


しら鳥はかなしからずやそらの青海のあをにもそまずたゞよふ
   牧水

うちけぶり鋸山も浮び来と今日のみちしほふくらみ寄する
   喜志子

「海越えて」の歌碑


海越えて鋸山はかすめども此処の長浜浪立ちやまず

長沢海岸(神奈川県横須賀市)



酒出でつ庭いちめんの白梅に夕日こもれるをりからなれや

友の僧いまだ若けれしみじみと梅の老木をいたはるあはれ

最光寺(神奈川県横須賀市)



枯すすきにからまつの葉の散り積みて時雨にぬれし色のさやけさ

高根農村環境改善センター(山梨県北杜市)



甲斐の国こふちさはあたりの高原の秋すゑつかたの雲のよろしさ

小淵沢高原(山梨県北杜市)



山越えて入りし古驛の霧のおくに電燈の見ゆ人の聲きこゆ

下部温泉(山梨県南巨摩郡身延町)



朴の木と先におもひし近づきて霧走るなかに見る橡若葉



花ちさき山あぢさゐの濃き藍のいろぞ澄みたる木の蔭に咲きて

赤沢宿(山梨県南巨摩郡早川町)



ゆきくれてひと夜を宿るひだのくに古川の町に時雨ふるなり

古川町(岐阜県飛騨市)



うす紅に葉はいち早く萌えいでて咲かむとすなり山ざくら花

名古屋市立宮中学校(愛知県名古屋市)



粉河寺遍路の衆の打ち鳴らす鉦々きこゆ秋の樹の間に

粉河寺(和歌山県紀の川市)



手にとらば消なむしら雪はしけやしこの白雪はわがこころ焼く

小西酒造長寿蔵(兵庫県伊丹市)



幾山河こえさりゆかばさびしさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく



けふもまたこころの鉦をうち鳴しうち鳴しつゝあくがれて行く

牧水二本松公園(岡山県新見市)



はつ夏の山のなかなるふる寺の古塔のもとに立てる旅人

香山公園(山口県山口市)



桃柑子芭蕉の実売る磯町の露店(よみせ)の油煙青海にゆく

細江町(山口県下関市)



みねの上にまきたてる雲の紅ゐのあせゆくなべに秋の風ふく

川之江八幡神社(愛媛県四国中央市)



われ三たび此処に来りつ家のあるじ寂び定まりて静かなるかも

戸畑駅北口(福岡県北九州市)


   


新墾のこの坂道のすそとほし友のすがたの其処ゆ登り来

戸畑図書館(福岡県北九州市)



幾山河こえさりゆかば寂しさのはてなむ国ぞけふも旅ゆく

垣生公園(福岡県中間市)



幾山河こえさりゆかば寂しさのはてなむ國ぞけふも旅ゆく



かたはらに秋くさの花かたるらくほろびしものはなつかしきかな

片江風致公園(福岡県福岡市)



大川にわれは来にけりおほかはの流るるごとく酒わける里に



筑後川の河口ひろみ大汐の干潟はるけき春の夕ぐれ

筑後川昇開橋展望公園(福岡県大川市)



安芸の国越えて長門にまたこえて豊の国ゆきほととぎす聴く

ただ恋しうらみ怒りは影もなし暮れて旅籠の欄に倚るとき

青の洞門(大分県中津市)



阿蘇のみち大津の宿に分かれつる役者の髪の山ざくら花

(熊本県菊池郡大津町)



有明の月は冴えつつ霧島のやまの谷間に霧たちわたる

霧島いわさきホテル(鹿児島県霧島市)



見おろせば霧島山のやますその野辺の廣きになびく朝雲

霧島観光ホテル(鹿児島県霧島市)

牧水文学碑



三国路与謝野晶子紀行文学館(群馬県利根郡みなかみ町)

三島水辺の文学碑



(静岡県三島市)