芭蕉の句

観音のいらかみやりつ花の雲
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観音のいらかみやりつ花の雲 |
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「かねは上野か浅艸か」と聞えし前の年の春吟也。尤(もつとも)病起の眺望成べし。一聯二句の格也。句ヲ呼テ句とす。 |
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『末若葉』(其角編) |
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毘沙門堂の花盛、四天王の榮花もこれにはいかでまさるべき。うへなる黒谷、下河原、むかし遍昭僧正のうき世をいとひし花頂山、わしのみやまの花の色、枯にし鶴の林まで、思ひられてあはれ也。 |
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観音の甍見やりつはなの雲 |
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観音のいらか見やりつはなの雲 此句の事、或集にキ角云「「鐘は上野か浅草か」と聞べし。前のとしの吟也。尤病起の眺望成べし。一聯二句の格也。句を呼て句とす」とあり。さもあるべし。
『三冊子』(土芳著) |
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「病後の懶(ものう)い目を、家々の屋根のかなたの観音堂の甍にやっていると、そのあたりは一面もう花も盛りで、花の雲がひしめいていることだ」の意。 深川の草庵での吟だが、当時は、人家もまばらで、あさくさかんのんの大甍が遠く望見できたのであろう。「見やりつ」という語調に、病起の懶(ものう)い規則が感じられる。見ようとして見ているのではない。おのずから見ていた、気がつくと見ていたという気持なのである。 『末若葉』(元禄十年刊・其角編)・『泊船集』・『三冊子』・『赤冊子草稿』などに出で、謡曲「西行桜」の一節に譜点を付して前書にした真蹟懐紙も残っている。『蕉翁句集』・『芭蕉翁發句集』(「諸集に『花の雲』とあり」と頭注)・『其角十七条』には下五「花曇り」とある。『末若葉』に「『かねは上野か浅草か』と聞えし前の年の春吟なり。尤(もつとも)病起の眺望成べし。一聯二句の格なり……」とある。『末若葉』で引いている「花の雲鐘は上野か浅草か」の句が貞亨四年と推定されるので、この句は三年春の作とみてよいであろう。『蕉翁句集』も貞亨三年とする。 |
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