私の旅日記2010年

芝山仁王尊〜碑巡り〜

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芝山町芝山に芝山仁王尊(HP)がある。


正式名は天應山観音教寺福聚院。

天台宗の古刹である。

 天応元年(781年)、光仁天皇の勅命により征東大使藤原継縄(つぐただ)が守り本尊である十一面観世音大菩薩を安置した事に始まるそうだ。

天長2年(825年)、慈覚大師円仁中興。

観音教寺の石段


仁王門


明治15年(1882年)、完成。

仁王尊天が祀られている。

火事・泥棒除けの「お仁王様」の通称で親しまれている。

観音教寺本堂


享保4年(1719年)、建立。

本尊の十一面観世音は60年に一度開扉される秘仏である。

本堂の手前左手に芭蕉の句碑があった。


観音のいらか見やりつはなの雲

出典は『末若葉』(其角編)。

貞亨3年(1686年)、芭蕉43歳の時の句。

文化7年(1810年)3月12日、飛鳥園三世貞翁一叟建立。

 『諸国翁墳記』に「花雲塚 上總國武射郡天應山観音寺境内在 下總國香取郡船越村 三世飛鳥園 一叟建之」とある。

貞翁一叟は北総船越村の宇井佐富。貞翁一叟61歳の時である。

寛政13年(1801年)、貞翁一叟は並木寂阿に飛鳥園を譲られた。

碑の裏に「俳諧の倭歌」が万葉仮名で刻まれている。

區沙爾毛棄邇茂夜與比伎奴禮伐
   草にも木にも弥生来ぬれば
西蝿ネ廼波留乃天廼登度久曾良
   世界の春の手の届く空
布太羅玖廼知半都地茂宇留保比
   補陀落の地は土も潤ひ
波奈左久古介也伊之爾差丘薄奈
   花咲く苔や石に咲く花

三重塔


天保7年(1836年)、完成。

千葉県に残る江戸時代の三重塔は、成田山と観音教寺の二基だけである。

東海寺の三重塔は昭和48年の建立。

ちなみに五重塔は法華経寺の一基のみ。

本土寺の五重塔は平成3年の建立。

「杉家歴代」の句碑があった。


散りしあとさかぬさきこそ花恋し
   杉家始祖採荼庵杉風
人知らぬ杉ももみじも年の坂
   杉家二祖白兎園宗端
なかぬ日は啼かぬでさびし閑古鳥
   初代飛鳥園一叟
夕立や雨にあめうつ石の上
   二代飛鳥園南無坊寂阿
はるの雪昨日は雨の降りにけり
   三代飛鳥園天隨坊貞翁
名月や月ともいはず一しきり
   四代飛鳥園再生坊天堂
空の事いはぬ日はなし子規
   五世飛鳥園(天老坊)貞哉

五世飛鳥園貞哉建立。

 「初代飛鳥園一叟」は広岡宗瑞。

 寛政8年(1796年)10月12日、二代飛鳥園南無坊寂阿は寺作の土橋山東禅寺に芭蕉の句碑を建立。

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