佃島にあり。祭る神、摂州の住吉の御神に同じ。神主は平岡氏奉祀す。
正保年間摂州佃の漁民に、初めてこの地を賜はりしよりこゝに移り住む。
本国の産土神(うぶすな)なる故に分社してこゝにも住吉の宮居を建立せしとなり。(摂州佃村は、西成郡にあり。『古今集』にたみのゝ島とよめるはこれなり。かしこにも住吉明神の宮居ありて、神功皇后三韓征伐御帰陣の時、その地に御船の艫綱をかけ給ひしより已降(このかた)佃村の地に御船の鬼板を伝へ、いつき祭る事、千有余年なりといへり。当社はこの分社たり。)毎歳六月晦日名越祓修行あり。(例祭は毎歳六月廿八日・廿九日両日なり。人々群集す。)
逍遥院実隆公住吉奉納和歌十首の題を詠じて奉りし中に
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江上月
| 戸田茂睡 |
この浦の入江の松に澄む月のみなれそなれて幾秋かへむ
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名月やこゝ住吉のつくだじま
| 其角 |
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住吉神社の藤棚
元文2年(1737年)5月20、佐久間柳居は江戸を立って箱根に向かう途中、住吉神社を遥拝している。
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遊びよし爰住吉のよし雀
| 麥阿 |
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遊ひよしこゝ住よしのよし雀
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天明2年(1782年)、加舎白雄は大来と佃島に遊ぶ。
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佃にあそぶ二句
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春の夜や船にたく火も篝かと
| | 大来
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はるの海月なき宵も朧なる
| | 白雄
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加舎白雄は他にも佃島で句を詠んでいる。
佃島にて
夜の灯やここすみよしも蜀帝魂(ほととぎす)
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岩間乙二も句を詠んでいる。
佃 島
親もたぬ舟のねづみやあきの風
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文化2年(1805年)元旦、小林一茶は心可と佃島の住吉神社に初日の出を見に行く。
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