祇空子、ことし庵崎の有無庵にかへりすむ。その庵のさま、一石を繩床とし、數竿の竹を友とす。安眠高臥、白鴎の江南にあさるがごとし。噫たれかこれを羨ざらん。
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鶴にまかせ斧をともなひ居士頭巾
| 園女
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享保元年(1716年)4月3日、稲津祇空は庵崎の有無庵を出て奥羽を行脚。
享保11年(1726年)4月20日、63歳で没。
東京都江東区白河の雄松院に墓がある。
秋の月春の曙見し空は夢か現か南無阿弥陀仏
埼玉県本庄市の安養院に「三俳人句碑」がある。
酒買に行くや雨夜の雁一ツ
| 其角
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ふとんきて寝たる姿やひがし山
| 嵐雪
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はつれはつれ粟にも似たる薄かな
| その女
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園女の句
あたらしくそろひ織はやあら莚
此春招かるゝ方ありて
分別に百里の羽や花の年
笠とれば六十顔のしぐれ哉
けふ見るはなにわらはへをもてはやして
ことつかる菓子の封切櫻かな
すみよしにまうてゝ神慮を仰き奉る
こからしや譲り合て海の汐
呉服所のあれハ誰やらこんひら會
蜑の子の肌なつかしやあしの花
しら糸に霜かく杖や橋の不二
家もたぬ燕かさびし顔の様
落かへる風より後のほたるかな
鼻紙のあいたにしほむすみれ哉
笠とれば六十顔のしぐれかな
負ふた子に髪なふらるゝ暑かな
それそこに更科河やそばの花
鶺鴒の尾にきざみ行日かけかな
手を延て折ゆく春の草木かな
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