稲津祇空

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『みかへり松』

 正徳4年(1714年)、祇空が早雲寺の宗祇墓前で剃髪した記念集。

   家隆卿のこゝに悟心の詠を感ず。

初御膳波の入日を朝日かな
   祇空

   宗祇のしぐれ、芭蕉の宗祇、青流
   の剃髪

世にふるもさらに祇空のやどり哉
   淡々

新居士衣朝のひだを枇杷の花
   巴人

山茶花によその目覺す姿かな
   秋色

   稲津氏青流、近き比より身をやす
   ふし、豆州早雲寺宗祇の古墳に至
   りて、落髪のよし聞侍りければ

髭の香に移れ野服の霰笠
   露沾

   祇空子、ことし庵崎の有無庵にか
   へりすむ。その庵のさま、一石を
   繩床とし、數竿の竹を友とす。安
   眠高臥、白鴎の江南にあさるがご
   とし。噫たれかこれを羨ざらむ。

鶴にまかせ斧をともなひ居士頭巾
   園女

   本意とげて來ませと申たりし餞別
   の一句、剃髪のほゐに賀して、行
   の字にかゆ。

本意とげて行や馬上の綿帽子
   湖十

   舊知青流子、去年冬のはじめ、箱
   根山早雲寺、宗祇師の墓所の前に
   て髪おろし、みづから名を祇空と
   あらためらるゝとなん。我聞、宗
   祇師は香をとめん爲に、髭をたし
   なみ給ふよし。

剃からは髭も惜まじかみな月
   素堂

ひとりは醫者獨なでずや室の雪
   沾徳

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