芭蕉の句


名月や池をめくりてよもすから

出典は『あつめ句』(貞享4年編)。

貞亨3年(1686年)8月15日、芭蕉庵で月見の宴を催した折の句。

 丁卯のとし

一、芭蕉菴の月みんとて、舟催(ふなもよひ)して参りたれば、

名月や池をめぐつて夜もすがら
   翁


「丁卯のとし」は貞享4年。貞享3年の誤り。

芭蕉43歳の時である。

   此わすれながるゝ年の淀ならむ

   名月や池をめぐりて夜もすがら

 必とする事なきは素堂亭の年わすれにして、固とせざるは芭蕉庵の月見なるべし。


春にはが飛び込んだ池である。

   名月や池を廻りて夜もすから

此句ハ詞すらすらと云下して芭蕉庵一夜の佳興なるへし。宵の程は竹のかこミ花やかにさし出るより下り立て、句をもとめ詩を吟す。やゝ光半天にかゝりて、池水は氷をしけることく、盃をあらふ客も思ひやらる。まして暁は士峯に光をおさめて物の栄梧も観すへく、「かたふく月のおしきのミかハ」と詠る哥の心も籠れる歟。是等ハ句外の意味なれは無用の弁とて高き人は呵りたまハめと、我此事を思ひ立日より初学に古翁の粉骨をしらしめん為にして、更に老俳の手にふるへくも思ひ侍らねハ、しりへに嘲りをかへり見す、みしかき才を動しはへる


青森県五所川原市の芦野公園、八戸市の「芭蕉堂公園」、鰺ヶ沢町の広沢寺

宮城県柴田町の大光寺

山形県米沢市の心光寺極楽寺

栃木県藤岡町の繁桂寺

群馬県みどり市の阿左美沼太田市の民家、高崎市の瀧の宮神社

埼玉県行田市の天神社、川越市の喜多院

千葉県匝瑳市の妙広寺

神奈川県茅ヶ崎市の高砂緑地

山梨県甲府市の能成寺、笛吹市の山梨岡神社、甲州市の三光寺

長野県小海町の松原湖、諏訪市の金鳳寺、茅野市の頼岳寺

滋賀県栗東市のコミュティセンター大宝前

京都府京都市の広沢池

山口県岩国市の吉香公園

愛媛県宇和島市の源池公園

高知県宿毛市の浄土寺

大分県中津市の薦神社、日出町の松尾寺

熊本県苓北町の「民宿一休」に新旧2基の句碑がある。

芭蕉堂公園の句碑
   
高沢寺の句碑

   


大光寺の句碑



繁桂寺の句碑



阿左美沼の句碑
   
瀧の宮神社の句碑

   


天神社の句碑



妙広寺の句碑



山梨岡神社の句碑
   
三光寺の句碑

   


松原湖の句碑
   
頼岳寺の句碑

   


源池公園の句碑



浄土寺の句碑



 中村浩の『句碑のある風景』(1976年)によれば、料亭「冨竹」の庭に「名月や池をめぐりて夜もすがら」の句碑があったそうだが、現在行方不明。

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