芭蕉の句


春なれや名もなき山の薄霞

出典は『野ざらし紀行』。「奈良に出る道のほど」と前書きがある。

 貞亨2年(1685年)、二月堂参篭のために伊賀を発って奈良へ向かう途中で詠まれた句。

 大和の歌枕である「天の香具山・佐保山」ではなく、「名もなき山」に眼をとめたところに、芭蕉俳諧の新しみがある。

埼玉県本庄市の長谷観音堂

東京都新宿区の花園神社

三重県伊賀市の「旧大和街道」に句碑ある。

 『芭蕉庵小文庫』『芭蕉句選』『芭蕉翁發句集』『風羅袖日記』には「朝霞」とある。初案である。

福島県平田村の関根寛宅

栃木県栃木市の八幡宮

群馬県渋川市の木曾三柱神社、藤岡市の椚山稲荷神社

千葉県鴨川市の宮山神社

神奈川県相模原市の倉子峠

岐阜県美濃加茂市の祐泉寺

三重県伊賀市のくれは水辺公園に句碑ある。

八幡宮の句碑



木曾三柱神社の句碑



宮山神社の句碑



倉子峠の句碑



祐泉寺の句碑



 『はせをつか』(楓幻亜編)に「霞 冢 同津久田 燕史・流水ゝ 春なれや名もなき山の朝霞」とあるが、現存しない。

 神奈川県座間市の座間神社に「はるなれや名もなき山のあさのつゆ」の句碑がある。

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