芭蕉の句
いざさらば雪見にころぶ所迄
出典は『花摘』(其角著)。
貞亨4年(1687年)、『笈の小文』の旅の途中、名古屋の夕道邸で詠まれた句である。芭蕉44歳の時のこと。
夕道は名古屋の書肆風月堂主人。通称孫助。
いざさらば雪見にころぶ所まで
| ばせを
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硯の水のこほる朝おき
| 左見
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同じ茶の焙じたらぬは気香もなし
| 怒風
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三十余年もとのかほなり
| 野人
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あの山のあかりは月の御出やら
| 支考
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かやつる世話もやめて此比
| 胡江
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『蕉翁句集』(土芳編)には「貞享五辰ノとし」とあるのは、誤り。
長命寺の句碑
蓮華寺の句碑
善勝寺の句碑
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伝行山下堂の句碑
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大須観音の句碑
大雲寺の句碑
市民会館の句碑
『笈の小文』では「いざ行かむ」とある。
ある人の会
ためつけて雪見にまかる紙子かな
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いざ行かむ雪見にころぶ所まで
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『三冊子』(土芳著)に「雪見」、はじめは「いざゆかん」と五文字有。とある。
「真蹟懐紙」に「いざ出む」とある。
或日、「書林風月と聞し名もやさしく覚えて、しばし立よりて休らふほどに雪の降出しければ、
いざ出ん雪見にころぶ所まで
丁卯臘月はじめ、夕道何某に送る」と興じ給へるぞかたじけなき。
真蹟は風月堂孫助が秘蔵也。
「いざゝらば」は再案なり。
以左行ん雪見爾古呂婦所ま天
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