俳 書
『花摘』(其角著)
八日 上行寺 |
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灌仏や墓にむかへる独言 |
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十二日 東叡山院 |
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僧正の青きひとへや若楓 | 角 |
廿四日 宗長の句をとりて |
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橘の一ッ二ッは蚊もせゝれ | 角 |
二十八日 |
有難や雪をめぐらす風の音 | 翁 |
住程人のむすぶ夏草 | 露丸 |
湯 殿 |
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語られぬゆどのにぬるゝ袂哉 | 翁 |
月 山 |
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雲の峯幾つ崩れて月の山 | 同 |
五月朔日 |
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うつくしきかほかく雉のけ爪かなと申たれば |
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蛇くふときけばおそろし雉の声 | 翁 |
三日 |
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信濃へまい(ゐ)らるゝ人、暇乞せらるゝ餞に |
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梁(ウツバリ)の蠅を送らん馬の上 | 其角 |
四日 |
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木下に汁も膾も桜かな | 翁 |
甲陽軍鑑をよむ |
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あらそばの信濃の武士はまぶしかな | 去来 |
いせの国中村といふ所にて |
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秋の風伊勢の墓原猶すごし | 翁 |
たう(ふ)とさにみなを(お)しあひぬ御遷宮 | 翁 |
いざさらば雪見にころぶ所迄 | 翁 |
何に此師走の市にゆくからす | 翁 |
十七日 |
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いらごの杜国例ならで、うせけるよしを越人 |
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より申きこへける。翁にもむつまじくして、 |
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鷹ひとつ見つけてうれしと迄に、たづね逢け |
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る昔をあもひあはれみて |
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羽ぬけ鳥鳴音ばかりぞいらこ崎 | 角 |
十八日 |
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つぼみとも見えす露あり庭の萩 | 角 |
紅葉狩 切込て太刀の火を見ん岩の霜 |
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ゆく水や何にとゝまる海苔の味 | 其角 |
籾の芽立の堀江棚橋 | 渓石 |