芭蕉の句


わせの香や分入右は有磯海

出典は『奥の細道』。

 元禄2年(1689年)7月14日(陽暦8月28日)、芭蕉は高岡に宿を取り、金沢に向かった。

くろべ四十八が瀬とかや、数しらぬ川をわたりて、那古と云浦に出。擔篭の藤浪は春ならずとも、初秋の哀とふべきものをと人に尋れば、是より五里いそ伝ひして、むかふの山陰にいり、蜑の苫ぶきかすかなれば、蘆の一夜の宿かすものあるまじといひをどされて、かゞの国に入。

わせの香や分入右は有磯海

越中で詠まれた唯一の句である。

 この句、師のいはく「若、大国に入て句をいふ時は、その心得あり。都方名ある人、かゞの国に行て、くんぜ川とかいふ川にて、「ごりふむ」と云句あり。たとへ佳句とても、其信をしらざれば也」。有そもその心遣ひを見るべし。

『三冊子』(土芳著)

那古は、富山県射水市放生津付近の海。

あゆの風いたく吹くらし奈呉の海人の釣りする小舟こぎ隠るみゆ   大伴家持

『万葉集』(巻十七)

富山県魚津市の有磯海SA(下り)

 滑川市の徳城寺に「有磯塚」と複製碑、有磯海SA(上り)

 射水市の放生津八幡宮荒屋神社、氷見市の常願寺に「有磯塚」と副碑

 高岡市の道の駅「雨晴」

岐阜県大垣市の円通寺前に句碑がある。

有磯海SA(上り)の句碑


道の駅「雨晴」の句碑


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