わせの香や 分入右は 有磯海 |
元禄2年(1689年)7月14日(陽暦8月28日)、芭蕉は高岡に宿を取り、金沢に向かった。 |
馬並めていざ打ち行かな 渋谿の清き磯廻(いそみ)に 寄する波見に |
【現代語訳】 馬を並べて、さあ出かけようじゃないか。 渋谿の清らかな磯辺に 打ち寄せる波を見に。 【解説】 「八月七日の夜に、守大伴宿祢家持が館(むろつみ)に集ひて宴する歌」と記された宴歌13首の中の12首目、宴のお開きの頃の歌です。楽しい集いをもう少し続けたいと思った家持が、遊楽の場を変え、渋谿の清らかな磯辺に寄せる波を見に行こうと提案した歌です。「渋谿の磯」は現在の雨晴海岸。湖越しの立山連峰を望むことができる景勝地です。「有磯海(女岩)と称されるこの磯は、平成26年に「おくのほそ道」ゆかりの国の名勝地に指定されました。 |