芭蕉の句


名月や門に指くる潮頭

出典は『三日月日記』

元禄5年(1692年)8月15日、新芭蕉庵の名月を詠んだ句。

 『泊船集』には「名月や門にさし込潮かしら」、『芭蕉句選』に「名月や門へさし來る汐かしら」とある。

 満月になればじっさいに月のエネルギーが、つまり月の引力が海の潮をよせてくる。名月の夜は大潮なのだ。

 そこで芭蕉は深川芭蕉庵で、月の庭をみてくちずさんだ。

  名月や門にさしくる潮頭(「芭蕉庵三日月日記」)

 明治の作家の幸田露伴はこの句を解説して「空には満々たる月があり、門には潮がみなぎり・・・東京湾の潮は、秋夜には七尺ふくれる」(「続芭蕉俳句研究」)といっている。

『庭と日本人』(上田篤著)

山口県周南市の原江寺

香川県善通寺市の金倉寺

福岡県行橋市の松山神社

佐賀県鹿島市の臥龍ヶ岡公園に句碑がある。

原江寺の句碑


金倉寺の句碑


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