旅のあれこれ文 学


清少納言『枕草子』

 御岳にまうでて帰りたる人などのもて来める、枝ざしなどは、いと手ふれにくげにあらくましけれど、なにの心ありて、あすはひの木とつけけむ。あぢきなきかねごとなりや。

『枕草子』(第40段)

 蓑虫いとあわれなり。鬼の生みたれば、親に似てこれもおそろしき心あらむとて、親のあやしき衣引き着せて、「いま秋風吹かむをりぞ来むとする。待てよ」といひおきて、逃げて往にけるも知らず、風の音を聞き知りて、八月ばかりになりぬれば、「ちちよ、ちちよ」とはかなげに鳴く、いみじうあはれなり

『枕草子』(第41段)

 瀧は音無の瀧。布留の瀧は、法皇の御覽じにおはしけんこそめでたけれ。那智の瀧は熊野にあるがあはれなるなり。轟の瀧はいかにかしがましく怖しからん。

『枕草子』(58段)

 橋は あさむつの橋。長柄の橋。あまびこの橋。浜名の橋。ひとつ橋。佐野の船橋。うたしめの橋。轟の橋。を川の橋。かけ橋。勢多の橋木曾路の橋。堀江の橋。かささぎの橋。ゆきあひの橋。小野の浮橋。山菅の橋。名を聞きたるをかし。うたたねの橋。

『枕草子』(65段)

 森は 大あらきの森。しのびの森。ここひの森。木枯の森。信太の森生田の森。木幡の森。うつ木の森。

『枕草子』(96段)

 逢阪の関。須磨の関。鈴鹿の関。くきだの関。白川の関。衣の関。ただこえの関は、はばかりの関と、たとしへなくこそ覚ゆれ。

『枕草子』(107段)

 任事の明神いとたのもし。さのみ聞きけんとやいはれ給はんと思ふぞいとをかしき。

『枕草子』(225段)

神 橋

(栃木県日光市)

事任八幡宮

(静岡県掛川市)

木曽の棧

(長野県木曽郡上松町)

瀬田の唐橋

(滋賀県大津市)

生田神社

(兵庫県神戸市)

那智の滝

(和歌山県東牟婁郡那智勝浦町)

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