俳 書
『継尾集』(不玉編)
象潟の雨や西施が合歓花 | 芭蕉 |
神事の日にまい(ゐ)りあひければ |
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蚶潟や幾世になりぬ神祭り | 曽良 |
ミノ |
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象潟の蜑や秋めくさしこぎぬ | 己百 |
尾花沢 |
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きさかたや色々の木をみな桜 | 清風 |
同 |
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象潟や霜にあげ居る鷺の足 | 素英 |
すゞ風や蚶の入江を持ありく | 支考 |
水やそら翠(みどり)の生絹<スゞシ>打ひろげ | 呂丸 |
ミノ |
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象潟や蜑の戸をしく夕すゞみ | 低耳 |
酒田 |
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象潟や藻の花渡る夕すゞみ | 安種 |
象潟のさくらに見たし二王門 | 玉志 |
此句跡より聞ゆ |
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象潟の島よりあがれ夕雲雀 | 重行 |
象潟の紀行 | 野盤子 |
吹 浦 |
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打出て矢の根拾はんしやがの花 |
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大師崎 |
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白波のたゝみあげしや雲の峯 | 清風 |
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喜三太に涼しがらせん大師崎 | 支考 |
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八熊やところどころの下もみぢ | 呂丸 |
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粟崎や雲と若葉のあはひより | 不玉 西行桜 西行法師 |
象潟の桜はなみに埋れて |
はなの上こぐ蜑のつり船 |
「花の上漕」とよみ給ひけむ古き桜も、いま |
だ蚶満寺のしりへに残りて、陰波を浸せる |
夕晴いと涼しかりければ |
ゆふばれや桜に涼む波の花 | 芭蕉 |
象潟の畠にきらぬさくら哉 | 不玉 |
腰長<タケ> |
腰長や袖にはぜ飛秋の風 | 己百 |
腰長やちか道ながら涼しさに | 不玉 |
腰長の波ともなれや夏の風 | 呂丸 |
はぜいさゞそこのみるめを涼み哉 | 支考 |
腰長や鶴脛ぬれて海涼し | 芭蕉 |
能因嶋 能因法師 |
世の中はかくてもへけり蚶潟の |
あまのとまやを我宿にして |
九月小望月の比こゝにやすらひたまひしよし |
かの法師落着方や後の月 | 呂丸 |
物たらぬ能因嶋の師走哉 | 不玉 |
鳥海山 |
夏山や龍燈あがる雪の中 | 不玉 |
とりの海をならば打こせねり雲雀 | 支考 |
大石田 |
鳥海の雪よりおろせほとゝぎす | 一栄 |
袖 浦 |
安種亭より袖の裏を見渡して |
涼しさや海にいれたる最上川 | 芭蕉 |
五月雨や蓑よりのぞく袖の浦 | 清風 |
大石田 |
月影や最上をさして川馬なく | 川水 |
乍単斎 |
肌脱がぬ船頭もなしむら時雨 | 等躬 |
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江上之晩望 |
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風羅翁 |
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あつみ山や吹浦かけて夕すゞみ | 芭蕉 |
みるかる磯にたゝむ帆莚 | 不玉 |
月出ば関やをからん酒持て | 曽良 |
土もの竈のけぶる秋風 | 翁 |
野盤子 |
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行雲の砕て涼し礒の山 | 支考 |
くらき所に啼かんこ鳥 | 重行 |
小麦苅跡の中ざし青やぎて | 呂丸 |
傘一本に四五人の客 | 考 |
骰子堂 |
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夏の日や一息に飲酒の味 | 路通 |
夜雨をつゝむ河骨のはな | 不玉 |
手心をほそき刀に旅立て | 呂丸 |
秋は子どもに任せたる秋 | 不撤 |
出屋敷の後はひろき月の影 | 玉文 |
つゆのしめりにたらゐうつぶせ | 支考 |
白河の関にみかへれいかのぼり | 其角 |
飯鮓の鱧なつかしき都かな | 其角 |
物書付て団(うちは)わすれず | 支考 |
細曳の小袖もたむる奥深に | 桃隣 |
かた口あつる樽の呑口 | 角 |
尾花沢 |
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初雪をみな見つけたる座禅哉 | 清風 |
あり明寒き高藪のうち | 支考 |
鶩(あひる)なく籠の掛がねはづさせて | 不玉 |
紙すく町は寂しかり梟(鳬) | 風 |
潜淵菴 |
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河豚喰て死なぬ心のうつゝ哉 | 不玉 |
火桶の鶉撫はがしたり | 路通 |
目にたゝぬ垣根の草をかきよせて | 仝 |
月にくつろぐ二ノ丸の跡 | 玉 |
餞別 |
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羽黒本坊 |
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忘なよ虹に蝉啼く山の雪 | 会覚 |
杉のしげみをかへりみか月 | ばせを |
弦かくる弓筈を膝に押当て | 不玉 |
まへふりとれハ能似合たり | 不白 |