芭蕉の句


夏来てもたゞひとつ葉の一葉哉

出典は『笈日記』

貞享5年(1688年)、『笈の小文』の旅の帰路岐阜付近の山中で詠まれた句。

妙照寺の庭の奇岩絶壁に一つ葉の叢生するのを見て吟じたという。

芭蕉45歳の時である。

同年9月30日、元禄に改元。

「ひとつ葉」は、ウラボシ科の常緑多年生のシダ。夏の季語。

  貞享五年夏日


名にしあへる鵜飼といふものを見侍らむとて、暮かけていざなひ申されしに、人々稲葉山の木かげに席をまうけ、盃をあげて

又やたぐひ長良の川の鮎なます
   翁

夏来てもたゞひとつ葉の一葉哉
   仝


東京都港区の青山海藏寺に新旧2基

岐阜県岐阜市の法久寺岐阜城

長崎県諫早市の本清寺に句碑がある。

岐阜城の句碑


『阿羅野』『風羅袖日記』には「一つ哉」とある。

   夏来ても只ひとつ葉の一ツかな

一ツ葉は筥根塔沢或ハ熊野路なんとに見渡り侍る。漢名石葦といへる薬草也。句意ハ枝有ものは枝にたふれ、花ある物ハ花にたふる。只一ツ葉の安きを愛せる隠逸の観想尤尊し


『泊船集』に拠れば誤り。

茨城県笠間市の愛宕神社

群馬県沼田市利根町の民家

埼玉県深谷市の民家

神奈川厚木市の道路沿い

鳥取県鳥取市の用瀬番所跡に句碑がある。

愛宕神社の句碑


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