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あか水汲みこぼしてもぬくし 櫻散りあふるるを一木なり 蝋のしずくす風が春にして山の堂 南無觀世音、杉間より散るは櫻よ これはお僧よりの草餅よ |


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迷堂は本名光三郎。高浜虚子の『国民新聞』に投句。大正4年、松根東洋城の『渋柿』同人となる。大正14年から昭和17年まで杉本寺の住職を勤めた。法名は暢光。 |
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昭和5年(1930年)10月31日、高浜虚子は星野立子とたかし庵で鎌倉俳句会。杉本寺へ行く。 |
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十月三十一日。鎌倉俳句会、たかし庵。 木の下に落る木の実を待ちにけり 秋風のほしいまゝなる外面かな |
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十月三十一日。鎌倉俳句会、たかし庵。近くの杉本寺 へゆく。秋雨が細かく降つてゐる。一本の大きな銀杏の 木の下に子供らが落ちて来る銀杏の実を競つて拾つてゐ る。 拾ひたる銀杏かぞへ分けにけり はにかみて拾ひし木の実見せくれぬ 境内は一面のひどい杉落葉。さういへば昨夜は随分ひ どく風が吹いた。ひよどりが時々きては高く鳴く。雨が 大降りとなると、銀杏の子供たちは、どこへか見えなく なる。 秋雨のはげしくなれば堂縁に |
