吉崎の入江に、渡舟あり。(浜坂のわたしと云)此江を西にわたりて、浜坂村に至る。それより汐越村をこえ、砂山を五、六町ゆけば、高き丘あり。上平らかにして広く、古松多し。其下は、外(ト)海のあら磯にて、岩の間岩の間にも、亦松樹あり。枝葉愛すべし。此辺の松を、なべて汐こしの松と云(一木にはあらず)。今も高浪松が根をあらひて、類稀なる勝景なり。
『奥細道菅菰抄』 |
日本海を見下す。

元禄14年(1701年)、支考は北陸行脚の途上、汐越の松を訪れている。
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汐越松
關雪のぬし此日のあるしまふけせられて、川船に一樽の興を添たるに、道のほと一里はかりならん、江上の清風も山間の名月も、ともにとほしきあそひにはあらさりけり。
松葉ちる嵐や礒は浪の花
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元禄16年(1703年)秋、涼菟は山中温泉に遊ぶ。北枝は汐越の松に案内する。
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一とせ汐越の松見んとて浦つたひせられしを
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其時のあないせし北枝今も又我をともなひて
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共に昔をしたひ侍ル
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| 凉兎
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浪聞て爰そ身にしむ松の風
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澄きる月に笠の俤
| 里楊
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露霜にまんまと我もつれ立て
| 北枝
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享保6年(1721年)5月14日、露川は北越行脚の途上、汐越の松に案内された。
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十四日、大聖寺のかたに杖を引。砂鉾
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四里をたすけて、汐こしの松見せんと
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や、見送り十余人、未の下刻に着。松
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陰に物打敷て盃取かはし、おのおの汐
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こしの松に矢たてを動す。
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汐こしの松や葉で漉す風凉し
| 居士
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木綿帆の汐こし凉し鷺の聲
| 無外
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明和8年(1771年)、加舎白雄は北陸行脚の途上、汐越の松を訪れている。
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月をたれたる汐越の浦にて蕉翁に句なきは、句なきぞありがたかりける。
汐越や松がね枕蚤もなし
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平成16年(2004年)3月1日、芦原町は金津町と合併して、あわら市となった。
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