越前の境、吉崎の |
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入江を舟に棹して、 |
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汐越の松を尋ぬ。 |
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終宵嵐に波をはこばせて |
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月をたれたる汐越の松 西行 |
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此一首にて、数景尽たり。 |
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もし一辨を加るものハ、無用の |
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指を立るがごとし |
一とせ汐越の松見んとて浦つたひせられしを |
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其時のあないせし北枝今も又我をともなひて |
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共に昔をしたひ侍ル |
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凉兎 |
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浪聞て爰そ身にしむ松の風 |
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澄きる月に笠の俤 | 里楊 |
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露霜にまんまと我もつれ立て | 北枝 |
十四日、大聖寺のかたに杖を引。砂鉾 |
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四里をたすけて、汐こしの松見せんと |
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や、見送り十余人、未の下刻に着。松 |
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陰に物打敷て盃取かはし、おのおの汐 |
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こしの松に矢たてを動す。 |
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汐こしの松や葉で漉す風凉し | 居士 |
木綿帆の汐こし凉し鷺の聲 | 無外 |