芭蕉の句

よくみれば薺花さく垣ねかな
|
○支考三年を經てばせを庵に仕候せし時翁のたまひけるは久しく句をきかず定めてあまたあるべしとなり支考心に思ふ句有て去年の秋 牛阿る聲に鴫たつゆふべかな 斯る句仕候とて伺ひければ翁は兎角の返事にも及び久しうして後予も此程一句したりとて よくみれば薺花さく垣根かな 支考其時腋下に汗ながれたりと或人には語りけるとぞ 右斗入夜話
『枇杷園随筆』(井上士朗) |
|
「薺の花というものはほとんど人の目に触れることもない目だたぬ小さな花であるが、よく見ると、その薺が思いもかけず垣根のもとに小さな花をつけていたことよ」と驚いているのである。 この驚きんは深い愛情が感じられる。「よく見れば」という語はつつましい語であるが、この句では動かぬ重みを蔵すると言っても過言ではなかろう。この語が、「薺花咲く」にひびいて、そのあるとも見えぬ花の咲いていることに驚いている感じが生きてくるのである。『芭蕉句選年考』には『白氏文集』の「惆悵去年墻下地 今春唯有花開」を引用する。 |
|
福島県本宮市の蛇の鼻遊楽園 茨城県石岡市の如来寺 群馬県伊勢崎市の伊勢崎神社 埼玉県深谷市の住吉神社 千葉県旭市の東漸寺 三重県伊賀市の「蓑虫庵」 愛媛県松山市の長建寺 高知県高知市の吸江寺に句碑がある。 |
![]() | ![]() | ![]() |

