芭蕉の句
都出でゝ神も旅寝の日数哉
出典は『俳諧雨の日数』。
長月の末、都を立ちて、初冬の晦日ちかきほど、沼津に至る。旅館のあるじ所望によりて、風流捨てがたく筆を走らす。
元禄4年(1691年)9月28日、芭蕉は膳所義仲寺を後にして東下の旅に出、10月も末に近い頃沼津に着いた。
松茸・御所柿は心のまゝに喰ちらし、今は念の残るものもなしと、暮秋廿八日より三十二日めに、武江深川に至り候。
曲水宛書簡(元禄4年11月13日)
『俳諧一葉集』に「霜月のはじめ武江に至る」と前書きがある。
11月1日、江戸に到着したのであろう。
「住る方は」人に譲っているので、日本橋橘町彦右衛門宅貸家に旅装を解いた。