芭蕉の句


名月や座に美しき顔もなし

出典は『初蝉』(風国編)。

元禄3年(1690年)8月15日、尚白との両吟歌仙がある。

   古寺翫月

月見する座にうつくしき顔もなし
   芭蕉

 庭の柿の葉みの虫になれ
   尚白

群馬県渋川市の稲荷神社に句碑がある。



月見する座にうつくしき顔もなし

   翁義仲寺にいませし時に

名月や兒たち並ふ堂の橡
   芭蕉

   とありけれと此句意にみたすとて

名月や海にむかへは七小町
   仝

   と吟しても尚あらためんとて

明月や座にうつくしき皃もなし
   仝

といふに其夜はさたまりぬこれにて翁の風雅にやせられし事をしりて風雅をはけまん人の教なるへしと今茲に出しぬ

『初蝉』(風国編)

『泊船集』に「名月や座にうつくしき皃もなし」とある。

   明月や座にうつくしき皃もなし

 此句、湖水の名月也。「名月や児達双ぶ堂の縁」としていまだならず。「名月や海にむかへば七小町」にもあらで「座にうつくしき」といふに定る。

『三冊子』(土芳著)

茨城県つくば市の延寿院に句碑がある。


名月や座にうつくしき顔もなし

群馬県渋川市の旧家の庭の石灯籠に刻まれていた。



明月や児達並ふ堂の橡

芭蕉の句に戻る