大津市指定文化財 墓地には、俳聖松尾芭蕉の門下十哲の一人丈艸の名を刻んだ小さな自然石の墓を中心に、これを囲んで、まるで句座でも開いているような格好で芭蕉門下の俳人17人が眠っています。 17人の俳人墓石には、丈艸のほかに正秀・巴静・雲裡・梅宜・祐昌・可風・文素らの墓があります。 俳人墓地は、もともと俳聖松尾芭蕉が眠る義仲寺の寺領であり、竹藪や雑木林の広がる静かな地でしたが、今日、国道1号線を走る車の騒音に終日覆われ、昔のおもかげを伝えるものは、すっかりなくなりました。 昭和40年(1965年)5月に大津市の指定文化財になりました。
大津市教育委員会 |
龍か岡に登り丈艸の墓に詣て生前の剛毅を感す 梅の実やかんはしき名を刺こほし |
粟津里竜が岡に、松杉鬱たる岡の堂とて、丈艸法師のすみ給へる菴のありしが、それはいつしか破れはてぬ。そのあとに、無名菴の俤とてかたのごとくの庵をうつしたる。それさへ人の住あらして、いまはやぶるゝばかりにみゆ。かの法師の古塚のこゝにありと聞はべりて吊ひけるになし。里人のいふ。「三年四年のきのふにかあらむ、あれなる岡の上にうつしぬ」といふ。往て見るに、正秀・東花坊・雲裏・巴静が徒の碑にとなりて、一木だになくあらはなり。隠るゝはこの法師が性素なるに、あらはなるはあはれなり。あはれなるはけふのありさまなりとて、泣もまたあはれ也。 冬がれや野にたつ草に鳥とまる |