これまでの温泉
雲仙温泉「九州ホテル」
小濱と言ふ所は温泉宿等もあつて相當賑かな所である。此處で乘相自動車を捨てゝ、貸切の自動車に乘つて温泉(うんぜん)に行く。温泉までの道は悉く上り坂であつて、急角度をなして曲つて居る處も多い。それを運轉手は巧みに梶を取つて自動車を驅る。九州ホテルにつく。 九州ホテルはまづ病院と言つた位の建物であるが、主人や支配人が懇切に款待して呉れて居心地がいゝ。常に久保博士の居室であるといふ部屋に納る。 |
泉質は含硫黄−単純酸性温泉。(硫化水素型)(酸性低張性高温泉)泉温は51℃。pH 2.4。 |
沢木、細見、太郎君、小倉へ向う。西垣、小田と共に雲仙へゆく。地獄谷を窓からみて、緑も深く道路の横に点々と旅館があるのもよい。広い高原の感じが、そこなわれていない。意外によいところだ。秋の雲。蜩。
『金子兜太戦後俳句日記』 |