沢露川
『流川集』(露川編)
夏之一 |
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梅下翁 |
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ほとゝきす待やら淀の水車 | 宗因 |
一節にほふ風のたちはな | 露川 |
里人の野菜をはこふ夕月に | 支考 |
狂哥の集もこのころの秋 | 白堂 |
夏之二 |
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唐破風の入日や薄き夕凉 | 翁 |
誰かためそ朝起ひるね夕凉 | 其角 |
大雨に今一なきやほとゝきす | 丈艸 |
盤斎の湯衣なつかし夕凉 | 洒堂 |
茶焙(アフリ)の水のみかゝる暑さかな | 正秀 |
あはゝうき世にすゝむへかりけり |
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蚊の聲にのかれすまして蚊屋一重 | 曲翠 |
取茸の内の暑さや棒つかひ | 乙州 |
鷹の羽の松より落るすゝみ哉 |
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大津尼 |
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川中に登して見たし夏の月 | 智月 |
時鳥いつこ喜撰か住ところ | 露川 |
石山の門うつ比をほたる哉 | 車庸 |
ちからなき獨活のしけりや時鳥 | 素覽 |
東武におもひ立けるころおのおの木曾塚に會して |
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鈴掛をかけぬはかりのあつさ哉 | 史邦 |
起ふしにたはふ紙帳も破ぬへし | 素牛 |
行馬の水にいなゝく夏野哉 | 游刀 |
三河 |
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水際のこゝろもとなし蓮の花 | 白雪 |
秋 |
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一ツつゝ名乘てわたれ秋の鳥 | 乙州 |
ミノ |
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我を客我をあるしの月見哉 | 如行 |
濃の已百おもひかけぬ盲目となれはそれをさへ |
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哀に聞侍るに |
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行あたる壁にもさそなけふの月 | 已百 |
名 月 |
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川筋の関屋は幾つ今日の月 | 其角 |
名月や誰か養ひて稲のはな | 桃隣 |
悟らぬか月の矢矧の番所 | 露川 |
たはこよりはかなき桐の一葉哉 | 支考 |
追 悼 |
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悔(クヤミ)いふ人のときれやきりきりす | 丈艸 |
春 |
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温飩うつ跡や板戸の朧月 | 丈艸 |
膳立に水うつ比か桃の花 | 支考 |
一莚ちるや日うらの赤つはき | 去來 |
世の中になにやさかしき雉の耳 | 其角 |
四方より花吹入て湖の波 | 翁 |
留 別 |
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落つきのしれぬ別やいかのほり | 丈艸 |
四 鳴 春夏秋冬 |
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照りつゝく日やかけろふの芝移 | 史邦 |
くり石や藏の戸前の玉椿 | 之道 |
冬之一 |
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淺漬に笠を脱けり雪の宿 | 其角 |
手の氷りても削る魚串 | 岩翁 |
月の暮猫の化粧の静にて | 支考 |
菊の雫にぬるゝきり紙 | 沾徳 |
冬之二 |
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團栗は小春に落る端山かな | 言水 |
暖簾や雪吹きわたす旅籠町 | 去來 |
魚鳥の心はしらす年わすれ | 翁 |
このわすれなかるゝ年の淀ならん | 素堂 |
白髪に我あやからん年わすれ | 支考 |
暮て行市の名殘や切草履 | 已百 |
旅 行 |
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明星や霜吹おろす伊吹山 | 露川 |
法師はかりうらやましからぬものはあらし |
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鳶の尾やめされてけふの雪の花 | 支考 |
山鳥も尾をとりまはせ年の暮 | 露川 |
網代守大根ぬす人見付たり | 其角 |
塩鯛の歯茎も寒し魚の棚 | 翁 |
元禄六龍集癸酉初冬 |