芭蕉の句
やがて死ぬけしきは見えず蝉の声
出典は『猿蓑』。『陸奥鵆』にも収録されている。
『卯辰集』には「けしきも見えず」、『桃の実』には「けしきに見えず」とある。
『桃の実』に「此句、人上渡世、天道地變にも、かゝれる名句ならんと、世こぞつていひ侍りぬ。」とある。
元禄3年(1690年)夏、芭蕉が幻住庵で秋之坊に示した句だそうだ。
幻住庵
むかし湖南の幻住庵に。一夜の夢をむすびしが。其夜もしらずよみしやすらん。にくみしやすらん。無常迅速の一句をあたへて。先師も麓までおくりは申されしか。
「示二秋之坊一辭」(支考)
「秋之坊」は、金沢の門人。元禄2年(1689年)7月、芭蕉が『奥の細道』の旅で金沢を訪れた折に入門。
元禄3年(1690年)4月6日から7月22日まで芭蕉は「幻住庵」に滞在した。
吉祥院の句碑
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高藏寺の句碑
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県道沿いの句碑
三重県伊賀市の西蓮寺にある服部土芳の句碑にも芭蕉の句が刻まれている。
『はせをつか』(楓幻亜編)に「はせを冢 同上白井 琴岱ゝ やかて死ぬ氣色は見えす蝉の聲」とあるが、現存しない。
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