芭蕉の句


月はやし梢は雨を持ながら

出典は『鹿島紀行』

貞亨4年(1687年)8月15日、芭蕉は根本寺佛頂和尚を訪れた。

根本寺本堂


 ひるよりあめしきりにふりて、月見るべくもあらず。ふもとに、根本寺のさきの和尚、今は世をのがれて、此所におはしけるといふを聞て、尋入てふしぬ。すこぶる人をして深省を發せしむと吟じけむ、しばらく清浄の心をうるにゝたり。

 あかつきのそら、いさゝかはれけるを、和尚起し驚シ侍れば、人々起出ぬ。月のひかり、雨の音、たヾあはれなるけしきのみむねにみちて、いふべきことの葉もなし。はるばると月みにきたるかひなきこそ、ほゐなきわざなれ。かの何がしの女すら、郭公の歌得よまでかへりわづらひしも、我ためにはよき荷憺の人ならむかし。

をりをりにかはらぬ空の月かげも

   ちヾのながめは雲のまにまに
   和尚

月はやし梢は雨を持ながら
   同

寺に寝てまこと顔なる月見哉
   同


 「根本寺のさきの和尚、今は世をのがれて、此所におはしける」のは鉾田市阿玉の大儀寺であるともいう。

茨城県鹿嶋市の根本寺

千葉県市川市の行徳街道

岡山県井原市の両山寺

山口県萩市の大照院

徳島県阿南市の津峯神社に句碑がある。

根本寺の句碑
   
行徳街道の句碑

   


大照院の句碑


津峯神社の句碑


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