芭蕉の句


蓑虫の音を聞にこよくさのいほ

出典は『あつめ句』

貞亨4年(1687年)秋、芭蕉44歳、深川芭蕉庵で詠まれた句。

草の戸ぼそに住みわびて、秋風の悲しげなる夕暮、友達のかたへいひつかはし侍る。

蓑虫の音を聞にこよくさのいほ

『続虚栗』には「聴閑」と前書きがある。

   聴閑

蓑虫の音を聞きに来よ艸の庵
   芭蕉

   聞にゆきて

何も音もなし稲うちくふ(う)て螽(いなご)
   嵐雪

 元禄元年(1688年)、服部土芳は城下町のはずれに草庵を結び、些中庵と名付けた。入庵後まもなく来訪した芭蕉より、「蓑虫の音を聞きに来よ草の庵」の自画賛を贈られ、蓑虫が些中に同音相通じることから蓑虫庵とも呼ばれた。

 『枕草子』(四十段)に「八月ばかりになれば、「ちゝよ、ちゝよ」とはかなげになく、いみじうあはれなり。」とある。

山形県山形市の稲荷神社

東京都墨田区の旧安田庭園

長野県須坂市の勝善寺、伊那市の祥雲寺

岐阜県養老町の乾崇寺

三重県伊賀市の銀座通りロータリーに句碑がある。

稲荷神社の句碑


旧安田庭園の句碑


乾崇寺の句碑


神奈川県大磯町の鴫立庵にある芭蕉の句碑にも刻まれている。



芭蕉翁 四時遺章

はこねこす人もあるらしけさの雪
春たちてまだ九日の野山哉
みのむしの音を聞に来よ草の庵
日のみちや葵かたむく皐月雨

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