鹿沢温泉には手負いの鹿が湯治したという伝説がある。日本武尊の東征の時、この山中で一頭の白鹿を見つけ、これを目がけて放った矢のために白鹿は傷つき、そのまま姿を消したがその後を追って行くと、この谷間の湯気の立ち昇る中で白鹿がじっと傷を癒していたという伝説である。
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鹿の湯治の伝説は川端竜子の「霊泉由来」という名作を生んだと伝えられている。
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鹿沢温泉「紅葉館」

「紅葉館」は鹿沢温泉の一軒宿。明治2年に創業という。
日本秘湯を守る会会員の宿である。
数年ぶりに鹿沢温泉「紅葉館」のお風呂に入ることにする。
日帰り入浴は10時〜16時。入浴料500円。
「雲井の湯」檜風呂

掛け流しの天然温泉である。
源泉名は「雲井の湯」。泉温は44.8℃。湧出量は毎分61リットルで、自然湧出。
毎分30.5リットルの新湯が注入される。それでもそれほど大きくない浴槽にお湯がいっばいになるまで1時間22分かかる。大型旅館の大浴場が掛け流しではないのがよく分かる。
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泉質はマグネシウム・ナトリウム−炭酸水素塩温泉。
掲示用泉質名は炭酸水素塩泉。(pH7.0)。
久し振りに本物の秘湯に入ったような気がする。
鹿沢温泉「紅葉館」に若山牧水の歌碑の拓本があった。

しら玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけれ
明治43年(1900年)11月13日、若山牧水は小諸から地蔵峠を越え、鹿沢温泉にやって来た。
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鹿沢温泉は大正7年の火災で全戸が燃えてしまい、与謝野晶子や若山牧水をはじめ、さまざまな文人が訪れた際の歴史的資料などはすべて消失したという。
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大正13年(1924年)10月、大町桂月は鹿沢温泉を訪れている。