芭蕉の句碑
『奥の細道』〜東 北〜
無玉や羽黒にかへす法の月
芭蕉庵青桃拝
羽黒山別当執行不分叟天宥法印は、行法いみじききこえ有て、止観円覚の仏智才用、人にほどこして、あるは山を穿、石を刻て、巨霊が力、女か(女+咼)がたくみを尽して、坊舎を築、階を作れる、青雲の滴をうけて、筧の水とほくめぐらせ、石の器・木の工、此山の奇物となれるもの多シ。 一山挙て其名をしたひ、其徳をあふぐ。まことにふたゝび羽山開基にひとし。されどもいかなる天災のなせるにやあらん、いづの国八重の汐風に身をただよひて、波の露はかなきたよりをなむ告侍るとかや。此度下官(やつがれ)、三山順礼の序(ついで)、追悼一句奉るべきよし、門生(徒)等しきりにすゝめらるゝによりて、をろをろ戯言一句をつらねて、香の後ニ手向侍る。いと憚多事になん侍る。 無(其)玉や羽黒にかへす法の月 元禄二年季夏 |
昭和64年(1989年)6月、芭蕉来山300年記念に三山大愛教会本山管長長円坊当主神林茂丸建立。 |
涼風やほのミか月の羽黒山 |
雲の峯いくつ崩れて月の山 |
かたられぬゆどのにぬらす袂かな |