2013年福 岡

浄蓮寺〜「史蹟翁塚」〜
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北九州市八幡西区藤田に浄蓮寺という寺がある。


浄蓮寺山門


法林山浄蓮寺


浄土宗の寺である。

本堂の裏手に「史蹟翁塚」があった。


 俳聖松尾芭蕉は元禄7年10月大阪御堂筋花屋の別宅で歿し、遺言によりその遺骨は近江の義仲寺に葬り、遺髪は伊賀上野の翁の菩提寺愛染院に埋められた。世にこれを故郷塚と呼ぶ。

 翁の没後その三回忌に際し、筑前蕉門の筆頭格であった久芳水颯と関屋沙明は同門の俳人と謀り、彼等の檀那寺である黒崎藤田浄土宗浄蓮寺の境内に翁の迫善供養の碑を建立した。

 これが翁塚である。 時に元禄9年8月

 翁の没後三回忌までに建立された翁塚は全国に僅か4ヵ所にして黒崎の翁塚はその嚆矢である。

 この翁塚は後年蕉門十哲の支考が筑前に来遊したとき水颯の家に泊り、この翁塚に旧師を偲んだことが、支考の『ふくろ日記』に明かにされている。翁塚の台右には、水颯の子孫久芳五郎衛門が文政9年寄進の銘があり、翁塚の左が関屋沙明、右が久芳水颯の墓石である。

翁 塚


芭蕉翁

はた近き頃傳聞ぬるは西國の諸生志を押て肥前の長崎筑前の黒崎豊後の日田にも各々一面の石を立て香花の營をなせりとぞ落葉をくゝる時雨もさこそとおもひやらるゝ空の殊にかの邊は古翁往昔行脚の望深く侍しに今其塚の主となりて吟魂の悦いか計にやと一入の哀をもよをしぬ其外も猶あるへけれとほの聞く迄に書き終れり

『雪の葉』(一吟編)

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