十時から十一時まで花岡行乞。 花岡八幡宮はよいお宮だつた、多宝塔は特別保護建造物になつてゐる、古色蒼然として無量の含蓄がある、心しづかに味ふべし。 社務所の白萩はうつくしくてふさはしい。
『行乞記 広島・尾道』 |
重要文化財 |
この塔は、藤原鎌足公が建立したと伝えられ日本十六塔の一つで、現存のものは室町中期に再建された繊麗な手法をもつ優美な建造物である。三間四方の二重塔婆で総高13.7m、屋根は柿(こけら)葺きで塔の周囲に回椽をつけ斗キョウ(※手偏+「共」)間には装飾蟇股を用いている。また内部の四天柱には、天井長押をめぐらし鏡天井で須弥壇は簡素であるが古制を遺している。 本尊としては、金剛界大日如来像が安置されている。 建物の外部も形態がよく整い、厳島神社の多宝塔など現存された他の多宝塔と比べて遜色がない。 |
御祭神は、誉田別尊(応神天皇)姫大神(市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命)息長足姫命(神功皇后)の三座五柱で、第四十三代元明天皇の和銅二年(709年)豊前国宇佐より八幡宮の御分霊を勧請されたと伝えられる。 鎮座以来、重源上人による社殿の再建をはじめ、大内、陶、毛利歴世の尊崇篤い都濃宰判惣社であり、境内にある多宝塔は、神仏習合の様子を今に伝えている。 鎮守の杜に囲まれた豪壮な社殿には、岩瀬長五郎の彫刻や、従一位近衛忠煕卿による「永受嘉福」の扁額が掲げられ、寛政時代の街並や風俗を示す「祭礼図絵馬」や豊臣家御朱印状を含む古文書類、日本一の大太刀などが所蔵されている。
下 松 市 下松市教育委員会 |