龍河洞 土佐に奇勝あり。龍河洞といふ。一日瀧嵐子 とともにここに遊びて詠みける歌 寂しさの涯(はて)を極めむ悲願持ち岩くぐる身をば反らせて 石雫あな冷たさよと思へども心はさまで寒からなくに 命ここに盡くると思(も)はね洞ふかく闇路を往けば光戀しき 絶え間なく石滴りてあるほとに百千劫はいつか經にけむ
『遠 天』 |
絶え間なく |
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石したゝりて |
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あるほとに |
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百千劫は |
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いつか |
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経にけむ |
天成の歌人漂泊の歌人といわれる日本芸術院会員吉井勇は昭和8年の初遊以来数次にわたって龍河洞を訪れた。 右の作は昭和15年10月探勝時のもので49首におよぶ大作中の1首を作者の筆蹟をそのまま刻し昭和32年10月建設したものである。 除幕式には謝辞にそえて次の歌を寄せた。 大いなる自然のちからたたへまし 今日の祝ひにおもふことこれ |