堀部魯九

『雪白河』(魯九編)



享保11年(1726年)、魯九は北陸から陸奥へ旅立つ。鶴岡で越年。

享保12年(1727年)4月、『雪白河』(曇花房魯九編)六々庵巴静序。

此所舞ふ(う)ておりそふ雲雀かな
   魯九

昼鐘に眼いるゝや花の雲
   同

   加州山中

気晴ては風の若葉や裏表
   魯九

初雪や匂ひの失ぬ其あい(ひ)
   桃妖

   同小松 左静子が僧家をとぶらふ

是よりは牡丹に移れ蝶の夢
   魯九

さはさはと風の夕日や末若葉
   仝

   同元吉

芦の葉に昼の水鶏や手取川
   魯九

   同松任 千代女を尋て

旅人に落馬なさせそ美人草
   魯九

   同金澤犀川

卯の花の雪や白根に明て行
   魯九

   同浅野川

若葉から雫や落て浅の川
   魯九

   留 別

笠に帆をあぐる日もあり五月晴
   魯九

   越中井波

大雪や隣へ行ば雪の洞
   路健

立琴にもたれがましやうはの空
   魯九

   越後糸魚川
   山姥の旧跡にて

あけろなら袖ひるがえ(へ)せ秋の風
   魯九

三越経て秋の行衛や出羽の国
   魯九

しよろしよろと時雨て越や鼠が関
   仝

あつみ山や一つぬいても小六月
   仝

   羽黒詣で

花はいつ先常盤木の羽黒山
   魯九

   行尊塚

もろともにしればぞ合すわらびの手
   魯九

   袖之浦

紅梅の風に夕日や袖の浦
   魯九

   途 中

雲に雲重ねて高し鳴雲雀
   仝

   吹 浦

山吹に風や吹うら袖の浦
   魯九

   有哉無哉

うや無やの関の娘や桃の花
   九

   蚶 潟

きさがたやまだ覚きらぬ蝶の夢
   九

   西行桜

西行の名に埋れぬ桜かな
   九

蜆取海士の子共(供)や村烏
   仝

   陸奥塩竈

千賀の浦や煙りにあらず花の雲
   魯九

松しまや花に湧出る別世界
   仝

夏草や分て昔を忍ぶずり
   仝

   冨 士

富士かくす雲に恨やねぶの花
   魯九

   大井川

五月雨につらき詠や大井川
   九

   内外神前

かしこまる膝に若葉の雫哉
   魯九

雪白河 下

   芭蕉翁卅三回諱 題各時雨

捨られて野中の松の時雨けり
   魯九

   寒むがれに及べばしばらく此
   鶴岡に草庵をもとめ移る。日
   蓮衆おのおの役目を探り題に
   して当季をむすびその役々を
   つとむる事になりぬ
               庵主

雪垣も人手に安し庵移り
  曇花房

   歳 暮

雨垂の氷柱となりて暮にけり
   魯九

   歳 旦

蓬莱の所を得たりつるがお(を)
   仝

着てたてる衾ほさばや花の陰
   魯九

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