俳 書

『しぐれ会』(明和8年刊)


   各 詠

しくるゝや波も粟津へ粟津へと
   桐雨

また只の雲にして行しくれ哉
   素郷

時雨会や照る間にも木の葉ふる
   蝶酔
  豊後
二三輪のこる槿に初しくれ
   蘭里
  安芸
野釜たくきたない柴にしくれ哉
   風律
  東武
時雨るゝやうつふせてある昼飯椀
   昨烏

しくるゝや竹のあみ戸に夕日影
   古慊
  加賀
初しくれ京にはぬれす瀬田の橋
   千代尼

   老労の身のわり□□都にはあり□あ
   りなから

その会にもあはつ□過る時雨哉
   既白
  浪華
しくれ会やけふこそくもれ鏡山
   旧国
  
茶にむすふほとは時雨よけふ毎に
   諸九

   出席捻香
  播磨
のこりなく湖水をめくるしくれ哉
   山李
  
遠近に筆をぬらすや時雨の日
   文下

しくるゝやとりわけ鳰のたゝすまゐ
   重厚

時雨会や参るは誰々そ
   蝶夢

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