2023年福 岡

山頭火・緑平の句碑〜貴船神社〜
indexにもどる

平成筑豊鉄道糸田線直方駅


糸田駅下車。

糸田町の県道405号香春糸田線沿いに貴船神社がある。


昭和12年(1937年)3月18日、種田山頭火緑平居へ。

 三月十八日 曇――晴。 緑平居へ転げ込む。――

   ボタ山なつかしく草萌ゆる

 三月十九日 雨。

雀、鶯、草、雲。……

愛憎なし恩怨なし、そしてそして、――愚!

若松へ、多君を煩はして熊本へ。

   逢うて別れてさくらのつぼみ

   いつまた逢へるやら雀のおしやべり

熊本駅で一夜を明かす。

『其中日記(十)』

貴船神社の先に木村緑平の句碑があった。


聴診器耳からはづし風の音きてゐる

木村緑平旧居跡のようである。

裏に山頭火の句が刻まれている。


 逢うて別れてさくらのつぼみ

平成10年(1998年)、「山頭火フェスタinいとだ98」開催記念に建立。

昭和5年(1930年)11月27日、種田山頭火は緑平居滞在。

 十一月廿七日 晴、読書と散歩と句と酒と、緑平居滞在。

緑平さんの深切に甘えて滞在することにする、緑平さんは心友だ、私を心から愛してくれる人だ、腹の中を口にすることは下手だが、手に現はして下さる、そこらを歩い見(ママ)たり、旅のたよりを書いたりする、奥さんが蓄音機をかけて旅情を慰めて下さる、――ありがたい一日だつた、かういふ一日は一年にも十年にも値する。

夜は二人で快い酔にひたりながら笑ひつゞけた、話しても話しても話は尽きない、枕を並べて寝ながら話しつゞけたことである。

  ・生えたまゝの芒としてをく(緑平居)

  ・枝をさしのべてゐる冬木( 〃 )

   ゆつくり香春も観せていたゞく( 〃 )

  ・旅の或る日の蓄音機きかせてもらう( 〃 )


坂を上っていくと、山頭火・緑平の句碑があった。


雨ふる子のそばに親の雀が来てゐる
   緑 平

枝をさしのべてゐる冬木
   山頭火

平成10年(1998年)10月、種田山頭火・木村緑平を顕彰する会建立。

皆添橋へ。

2023年福 岡に戻る