虚子の句碑
紙を漉く女もかざす珊瑚かな
昭和24年(1949年)10月20日、高浜虚子は伊野町を訪れ、長女真砂子・次女立子と共に紙漉作業を見学した。 |
十月二十日。快晴。父の少年の頃、京都の学校に行つ てゐた時の学友の林並木さんが居られる処へ父と姉と私 がゆくことになる。案内役に松本かほるさんが同乗され て自動車で二時間ばかり。山を越えたやうに覚えてゐる。 その前に途中伊野といふ所で紙漉の工場を見学する。
星野立子・未刊句日記 |
昭和二十四年十月二十日、虚子翁は真砂子、立子氏等同道で土佐の佐川町に旧友を訪れる途次、土地の人々の懇請に応え、土佐紙の本場伊野町に立寄り、紙漉の状況を視てこの作があった。同地出身の土居由季氏請うて揮毫を需め、昭和二十八年十月、同町椙本神社境内に建碑した。高さ七尺、幅一尺三寸、厚さ六寸の黒御影石。前記の事由を碑陰に誌し「永久ニ之ヲ記念セント句碑ヲ建テ紙ノ故郷伊野町ニ贈ル」と刻んである。 |
椙本神社には鹿持雅澄(かもち まさずみ)・折口信夫の歌碑もあったようだが、電車の時間が迫っていた。 |