現在水前寺江津湖公園に建っている県指定重要文化財洋学校教師館(ジェーンズ邸)は、はじめ古城(ふるしろ)に建築された建物であった。建物の歴史を紐解くと、明治4年(1871年)熊本洋学校の開学に合わせて教師の官舎として現在の熊本県立第一高等学校の体育館の位置に竣工した。現在ではここに暮らした洋学校教師の名前からジェーンズ邸の名前でも呼ばれている。明治9年(1876年)に熊本洋学校の閉校に伴い洋学校教師館としての役割を終えた。明治10年(1877年)の西南戦争の際には有栖川宮熾仁親王の宿舎となり、この建物で日本赤十字社の前身である博愛社の設立が許可された。明治27年(1894年)に当時県庁のあった南千段畑に移築し、熊本県の施設として物産館の分館や熊本女学校の仮校舎など様々な用途で利用された。昭和7年(1932年)には建物が日本赤十字社熊本支部に売却、現在の水道町に移築され日赤記念館などとして利用された。昭和45年(1970年)に熊本市に寄贈され、水前寺成趣園の東側に移築、熊本市の記念館として公開された。翌46年(1971年)には熊本県指定重要文化財にも指定されている。 平成28年熊本地震の前震で壁の剥落などが発生し、本震によって全壊した。令和4年(2022年)に現在の電車通り沿いに移築・復旧された。
熊本市 |
日本の赤十字活動は明治10年(1877年)西南の役の際、熊本の地において敵と味方の別なく負傷者を救護したことにはじまる。創立100周年にあたり先人の注いだ情熱と遺業をしのび、赤十字活動の発展を祈念して、この碑を建立する。 |