2022年〜北海道〜
有島武郎邸跡〜有島武郎の肖像のレリーフ〜
「カインの末裔」、「生まれ出ずる悩み」などの作品で知られる文豪・有島武郎(1978−1923年)は、札幌農学校を卒業後、外国留学を終えて明治41年(1908年)、再び札幌の地を踏み、母校である北大で英語を教えるかたわら本格的な文筆活動を開始した。この家は、大正2年(1913年)8月、札幌永住を決意して新築したもので、大正3年(1914年)11月に妻・安子の病気療養のためこの地を去るまで過ごした。マンサード屋根を持った洋風の家は有島自身の設計といわれ、ここはその家があった場所である。 後年、この家は、森雅之(有島の長男行光)主演の映画「白痴」(監督黒澤明、昭和26年)のロケにも使用され、現在は、札幌芸術の森に移築・保存されている。 碑文は、安子夫人の死後、有島がまとめた有島安子遺稿集「松むし」から取った日記の一節である。 有島は、あるとき、「細君というものはこんなにいいものならなぜもっと早く貰わなかったと君は思ったかい。」と友人に尋ねられ、「そりゃいい事もあり悪い事もありさ」と答えて笑った。これを聞いていた安子夫人は恥ずかしさと悲しさで泣きたくなり、「細君はなかなかいいものさ。早く結婚したまえ」と夫に言われるような妻になろうと思ったという。
札幌市北区役所 |
「細君は中々いゝものさ。 君も早く結婚し給へ」 と仰有るやうに 私はなりたい。 有島安子遺稿集 『松むし』より |