屋上緑化の先駆けとしても貴重な事例である屋上庭園は、もともとは菜園であった。朝倉が「朝倉彫塑塾」という専門学校を開校していた当時、必修科目に「演芸」を設け、屋上を実習場としていたのだ。朝倉には「植物を育てることは自然を見る目を養うことに通じる」「植物は土によって命を育む、彫刻もまた土によって命が吹き込まれる」という考えが根底にあったものと思われる。 現在では、一部に菜園を復元して野菜を育てており、気節の恵みや花々が彩りを添えている。オリーブの大木や《砲丸》《ウォーナー博士》といった彫刻作品がアクセントとなり、建物と庭園の彫刻作品が融合した癒しの空間を作り出している。 |