井上円了ゆかりの地

伊豆大島〜「伊豆大島紀行」〜

 明治42年(1909年)11月11日夕、井上円了は霊岸島より乗船、翌12日午前3時、大島元村に着岸、船中にとどまること2時間余にして上陸。

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15日、波浮港村に移る。

波浮港


当港は伊豆七島中第一の防風港にして、漁船の入泊四時絶えず。

 波浮には「波浮の港を愛する会」が建てた「大島に蚊と牛糞なかりせば不寒不熱の極楽の里」という井上円了の歌碑があるそうだが、分からなかった。

16日、波浮港から三原山に登った。

三原山


 午前10時、波浮を発し、岩を攀ぢ樹を排して行くこと2里、砂原に出づ。およそ数里の間草木なく、渓谷なく、ただ糞石の遠近に点在せるを見るのみ。前を望めば一帯の峰巒の屏立するあり。その内部より雲煙の飛騰するもの、これ噴火口なり。

三原山から元村に帰る。

 牛糞の臭気の鼻をつくは、外来の人をして不快を感ぜしむ。ただし牛乳の値1合1銭5厘、一升7、8銭ぐらいなるは全国無比なり。また、男子は多く酒をたしなみ、ときとぎ会飲をなすという。

 島に住む娘さんの話によると、島にはマムシ焼酎があるということだ。マムシに焼酎をがんがん飲ませて酔っ払わせ、焼酎に漬け込むのだそうだ。島に住む娘さんがマムシ焼酎を飲んでいるのかどうか、分からない。

19日

大島に蚊と牛糞なかりせば不寒不熱の極楽の里

 気候は夏暑からず冬寒からず、大いに健康に適す。泉津村に老桜のその大きさ8人にて囲繞すべき大木と、役行者の住せしと伝うる岩窟ありというも訪尋せず。

「老桜」は特別天然記念物大島のサクラ株のこと。

特別天然記念物大島のサクラ株


オオシマザクラの老大木である。

 島に住む娘さんの話によると、「役行者の住せしと伝うる岩窟」は「行者窟」と呼ばれているものらしい。大島公園から歩いていくと「行者浜」と呼ばれている丸い石だらけの浜があり、その奥のほうに岩窟があるそうだ。かなり崩れかかっていて危ない印象だが、その中に役行者について字の消えかかった説明があるという。

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