山口誓子


『句碑をたずねて』

(奥の細道の句碑)  ・ その他芭蕉の句碑)

昭和40年(1965年)6月、『句碑をたずねて』の取材旅行。

麦の穂をたよりにつかむ別れかな

京浜急行八丁畷駅(神奈川県川崎市)

鎌倉をいきて出てけむはつ松魚

冨塚八幡宮(神奈川県横浜市)

松葉を焚て手ぬくひあふる寒さ哉
   
ごを燒て手拭あふる寒さ哉

   


聖眼寺(豊橋市下地町)

寒けれど二人旅寝ぞたのもしき

湊築島弁天社(愛知県豊橋市)

道のへの木槿は馬に喰れけり

東観音寺(愛知県豊橋市)

寿久三行や馬上尓氷る影本うし

龍泉寺(愛知県田原市)

麦はえて能隠家や畑村

潮音寺(愛知県田原市)

星崎の闇を見よとや啼千鳥
   
笠寺やもらぬ岩屋も春の雨

   


笠覆寺(愛知県名古屋市)

水鶏鳴と人乃云へ者や佐屋泊

八幡社(愛知県愛西市)

折々に伊吹をみては冬ごもり

八幡神社(岐阜県大垣市)

冬牡丹千鳥よ雪のほとゝきす

本統寺(三重県桑名市)

明ほのやしら魚白き事一寸

浜の地蔵(三重県桑名市)

このあたりめにみゆるものは皆涼し

「十八楼」(岐阜県岐阜市)

先たのむ椎の樹もあり夏木立

幻住庵(滋賀県大津市)

病雁の夜寒に落ちて旅寝かな

本福寺(滋賀県大津市)

鎖あけて月さし入よ浮み堂

浮御堂(滋賀県大津市)

から崎の松は花より朧にて

近江神宮(滋賀県大津市)

五月雨や色紙へぎたる壁の跡

落柿舎(京都府京都市)

去来の句碑
涼しさの野山に満つる念仏かな

真如堂(京都府京都市)

花の山二町のぼれば大悲閣
   
六月や峰に雲おくあらし山

   


大悲閣(千光寺)(京都府京都市)

大和路

草臥て宿かる比や藤の花

八坂権現(奈良県天理市)

菊能香也奈良爾盤婦留幾佛達

稱念寺(奈良県奈良市)

水取や籠りの僧の沓乃音

二月堂(奈良県奈良市)

春の夜やこもり人床し堂の隅

崇蓮寺(奈良県桜井市)

若葉して御目の雫拭はばや

唐招提寺(奈良県奈良市)

菊の香にくらがりのぼる節句かな

勧成院(大阪府東大阪市)

しら菊の目に立て見る塵もなし

太融寺(大阪府大阪市)

旅に病で夢は枯野をかけまはる

難波別院南御堂(大阪府大阪市)

ひとつぬいてうしろにおひぬころもかへ

粉河寺(和歌山県紀の川市)

行春をわかの浦にて追付たり

和歌の浦(和歌山県和歌山市)

父母のしきりにこひし雉子の声

高野山奥の院(和歌山県伊都郡高野町)

蝸牛角ふりわけよ須磨明石

須磨浦公園(兵庫県神戸市)

去来の句碑

君が手もまじるなるべし花薄

日見峠(長崎県長崎市)

いなつまやとのけいせいとかりまくら

史跡料亭花月(長崎県長崎市)