部屋の窓際に大きな老眼鏡をかけたやせこけた白衣の小人が達磨のように坐って、糸車を紡いでいる。こちらの壁際に私は坐る。黙礼して一言もかわさない。寂かな部屋の中にじんじんとして伝わってくるものがある。なんにもいわないで、こんなに人間の存在を強く感じることはない。
――作者―― |
昭和6年(1931年)、高田博厚にロマン・ロランから「ガンジーとの対談に同席するように」との手紙が届く。ガンジーが滞在していた一週間、博厚は毎日ガンジーと対峙したそうだ。 |
ただ親密な中で、歩みたどってきた私達の精神の姿を語り合いたい。形に触れ得るよろこび、どのような話にも、常に私達の魂が形而上のひろやかさにつながっているある歓びを得たい。
――作者―― |
姿態や構造に過剰な「説明」がなく、ただ「黙って在る」ことがそれに接する者に「無限に語りかけ」てくる。これが美術の本質だ。言いかえると首も手も足もないただ「人間の中心なる胴体」だけで「美」を示せる作家が本当の彫刻家だ。
――作者―― |
「主よ、日は傾き夕暮が迫ってきましたから、どうか私たちと共にいてください……」「ルカ伝」の中の、イエスが復活して弟子たちのところに現れ、食事を共にした折の弟子たちの言葉である。
――作者―― |