四月七日。三室戸寺。 落椿くゞりて水のほとばしる 花冷の参詣人も少かり 花冷の汁のあすきを所望かな |
岡井省二は三重県生まれの俳人。加藤楸邨および森澄雄に師事。1968年、『寒雷』に入会。1970年、『杉』創刊に参加。1991年、『槐』を創刊、主宰。2001年9月23日、没。 |
当寺は8世紀の創建と伝えられえられている古刹で、西国三十三所観音霊場第10番の札所として知られていますが、本堂には、本尊の金剛二臂千手観音立像、釈迦如来立像、毘沙門天立像が安置されています。 枯山水、池泉回遊式の室町時代の作庭手法を模した庭園には、多数のつつじ、石楠花、紫陽花等が植えられ、はなやかな彩りを添えるとともに、訪れる人にさわやかな季節感を与えてくれます。 また、境内には、源氏物語宇治十帖の悲劇のヒロインである浮舟の石碑や松尾芭蕉の句碑があります。 |
当寺は今から約1200年前、光仁天皇の勅願により千手観世音菩薩を本尊として建立さ れました。 平安時代には殊に皇室の御帰依が深く、三条天皇は法華堂を白河天皇は常行堂や荘園を、 又、堀河天皇は伽藍を増修し、寺領を御寄進せられた為に盛大を極めました。その後、時代の変遷と共に盛衰を繰り返し、約200年前の文化11年に現在の本堂は建立されました。 |
正月、中君のところに宇治から消息があった。浮舟のことを忘れられない匂宮は、家臣に尋ねさせたところ、まさしく浮舟は、薫君にかくまわれて宇治にいることがわかった。そして、ある夜、闇に乗じ、薫君の風を装って忍んで行く。浮舟が事に気づいた時はもう遅かった。 浮舟は、薫君の静かな愛情に引きかえ、情熱的な匂宮に次第にひかれていく。薫君は物思いに沈む浮舟を見て、一層いとおしく思われた。 如月の10日頃、雪の中、宇治を訪れた匂宮は、かねて用意させていた小舟に浮舟を乗せ、橘の小島に遊び、対岸の小家に泊って一日を語り暮らした。 橘の小島は色もかはらじを この浮舟ぞゆくへ知られぬ 浮舟は、二人の間でさまざまに思い悩んだ末、遂に死を決意する。
(財)宇治市文化財愛護協会 |
六月二十二日 西国札所巡り 宇治、三室戸寺 境内に緑蔭はみな松ばかり お札所の裏の行滝木下闇 時鳥聞かんと思ひ来し札所 |