白き巨船 きたれり 春も 遠からず |
明治29年(1896年)にフランス領事館とその官邸が建設された時、このフランス山には井戸水を汲み揚げるための風車が設置されました。風車が設置されたのは、レンガ造りの井戸の遺構が残されている場所です。 残念ながら、フランス領事公邸で使用されていた風車の形は、写真などの資料が残されていないため判りません。しかし、同時代に使われていた「フェリス女学院の赤い風車」や「ヴィラ・サクソニアの風車」の写真から、多翼型の風車であったろうと思われます。なおフランス山の風車は、フランスに残されている資料から明治42年(1909年)頃までは存在していたようです。 今回、フランス山の公園整備に際し、かつてのフランス山をしのぶモニュメントとして、多翼型の風車を設置しました。風車の色は、フランス国旗の色にちなんでトリコロール(青、白、赤)に塗り分けられています。また、風車が回ると水を汲み揚げるようになっています。 今回の公園整備に伴う工事の際に、風車のレンガ造りの基礎が見つかりました。井戸の北側斜面に2基、南側にやや小さめの基礎が2基の合計4基です。北側の基礎は、斜面の整備に支障をきたすため、盛り上げて新たに設置した風車を中心に、元の位置に合わせて展示しました。また南側の1基はそのままで、もう1基は園路の下に現状保存しています。
横浜市緑政局 |
大正12年(1923年)9月1日の関東大震災によって領事館邸は倒壊したため、マックス・ヒンデルの設計で昭和5年(1930年)に新しい領事官邸が建てられました。1階部分はコンクリート造、2、3階部分は木造の3階建ての建物でした。一部に4階建てに相当する塔屋があり、また大きい屋根窓が設けられていることから、4階に相当する屋根裏部屋があったものと推測されます。天井高は3m、建築面積は222.5u、建設費用は53万3,000フランと伝えられています。 |
1階部分は.14.5m×14mの正方形に近い矩形をしており、東隅に設けられた主玄関は、幅5.5m、奥行2mのポーチとその奥の5.5m×5mのホールからなります。ポーチは擬石積みでで仕上げられており、ホールには壁と床のタイル張りが残されています。 西側には.同じく擬石積みの仕上げが施された脇玄関と思われる開口部があり、そのかたわらに便所および2階に通じる階段があります。その他の部屋は、使用人の部屋や厨房等と思われます。 |
フランス山とのみ船音の秋風に
『薔薇粧ふ』 |