歩く、飲む、作る、 |
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水を飲むやうに酒を飲む |
歩く、飲む、作る、――これが山頭火の三つ物である。 山の中を歩く、――そこから私は身心の平静を与へられる。 酒を飲むよりも水を飲む、酒を飲まずにはゐられない私の現在ではあるが、酒を飲むやうに水を飲む、いや、水を飲むやうに酒を飲む、――かういふ境地でありたい。 作るとは無論、俳句を作るのである、そして随筆も書きたいのである。 |
禅門に「歩々到着」という言葉がある。それは一歩一歩がそのまま到着であり、一歩は一歩の脱落であることを意味する。一寸坐れば一寸の仏という語句とも相通ずるものがあるようである。 |