2019年石 川

真菰が池〜吉井勇の歌碑〜
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山代温泉の外れに真菰が池がある。


真菰が池と松籟公園

 山代温泉の地勢は、東は丘陵地にしてその中に今も残る真菰が池は、当地温泉唯一の灌漑用水として農民の思い出の池である。又町民にとっても憩いの場として今も親しまれている池である。池の三方は松林に囲まれ、一方は堤防となり僅かに数本の桜の老樹を残すのみ。一見平凡な池であるが周辺の緑を池に写し、又可麗な水草の花を愛でる人や飛び立つ鳥の姿に見入る人にとっては垂涎の池である。周囲には春日神社、光楽寺、町民運動場、松籟公園、古九谷の再興九谷としての吉田屋窯の窯跡があり、今や真菰が池は、その展望の広大さと共にまさに最大の景勝地である。

真菰が池の辺に吉井勇の歌碑があった。


雪ふらばあはむと君に雪ひたるその山代に雪ふるといふ

 しんしんと降ってベンガラ格子を濡らす雪に私は魅せられていた。去年の別れの時だった「また来てくださいますか、雪が降ったら」そして今「雪になりましたよ」との知らせ。 それが、私をたまらなくさせてしまったのだ。この世の汚辱をすべて消してしまうかのように、山代の雪はいっしんに降っていることだろう、温泉の湯気と混じらい山代は夢幻の郷となっているに違いない。それは、私にとり身も心も溶ける不思議な熱さなのだ。行こう山代へ、早く。降りしきる雪と、人のやさしさに逢うために。
現代歌人協会々員 伊林利子

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