『奥の細道』 〜東北〜
〜旧鐙屋〜
酒田市本町に旧鐙屋がある。
国指定史跡 旧鐙屋
明治40年(1907年)10月18日、河東碧梧桐は鐙屋について書いている。
「初真桑竪にやわらん輪にやせん」の芭蕉の句はこの地の鐙谷(あぶみや)という船問屋での作であると言い伝えられておる。「真桑瓜竪にやきらん輪にやせん」とか書いてあるという。鐙谷というのは西鶴の永代蔵にも出ておる名高い問屋であるそうな。
『泊船集』には「初真桑たてにやわらむ輪に切ん」とあり、「此句は酒田にての吟なりいつれの集にやら四ッにやわらん輪にやせんとあやまりしるしけり」とあるが、これは『泊船集』の誤りである。
「真桑瓜竪にやきらん輪にやせん」とか書いてあるというのは誤りである。
あふみや玉志亭にして、納涼の佳興に瓜をもてなして、発句を乞ふ(う)て曰、「句なきものは喰(くらふ)事あたはじと戯ければ